2024.06.07
東急不動産ホールディングス 佐藤様・伊藤様に聞く、不動産業界が新たな価値を生み出し続けるために必要な変革
WealthParkでは不動産オーナーと不動産管理会社をアプリでつなぐ業務支援SaaS『WealthParkビジネス』の提供、ソフトウェアだけで解決に至らない課題解決や新規事業開発を担うDXコンサルティングサービスを提供しています。
今回は、DXコンサルティングサービスをご利用いただいている東急不動産の佐藤様・伊藤様に、社内ベンチャー制度「STEP」および実際のプロジェクトについてお伺いしました。
いまだにレガシーな部分も多い不動産業界。その中でも東急不動産様は「価値を創造する人づくり」という方針のもと、DX人材の育成やデジタル活用による新しい体験価値の創出をされています。
ゲストプロフィール
東急不動産ホールディングス株式会社 グループCX・イノベーション推進部 イノベーション戦略グループ グループリーダー 佐藤 文昭 様
マンションデベロッパー、不動産投資ファンド運営会社を経て、2008年東急不動産入社。オフィスビル事業を担当したのち、2015年に海外事業部に異動し、2016年より米国現地法人へ出向。ニューヨーク・マンハッタンでの大型複合ビルの開発や賃貸マンションの取得業務をメイン業務として従事しながら、在米の不動産テックファンドへの出資の際のリサーチや関係構築を行う。2021年より現職。CVCによるスタートアップ企業への出資、社内外を巻き込むオープンイノベーションの推進、新規事業の立案等を行う。
東急不動産ホールディングス株式会社 グループCX・イノベーション推進部企画戦略部 イノベーション戦略グループ 主任 伊藤 慎二 様
2016年東急不動産入社後、住宅事業のマンション販売、分譲マンションの用地取得に従事。2020年より賃貸マンションの計画業務に異動し、学生レジデンスの計画推進業務を担当、リースアップ後は当社REITファンドや私募ファンドへの売却業務に従事。2023年より現職。社内共創型ベンチャー制度「STEP」の運営事務局にて新規事業立案者の伴走支援及び新規事業創出の風土醸成等を行う。
インタビュアープロフィール
WealthPark株式会社 代表取締役 COO 手塚 健介
富士フイルム株式会社・楽天株式会社を経て、2015年にWealthPark株式会社に入社。国内不動産大手との事業提携を進め、インバウンド不動産事業の成長を牽引。その後、人事部の立上げ・管掌、SaaS事業およびDXコンサルティング事業の立上げ・事業運営、など幅広い業務に携わる。2020年7月に取締役CBO(Chief Business Officer)、2023年11月より代表取締役副社長COOに就任。東京大学法学部卒業、ロンドンビジネススクールMBA。
WealthPark株式会社 法人事業本部 DXコンサルティング部 SVP of DX Consulting 村上 朝一
アクセンチュア、グラクソ・スミスクライン、ソフトバンクロボティクスにて、事業戦略、ビジネス・インテリジェンス(BI)、業務企画、システム企画/運用などに従事。WealthParkでは事業変革支援サービスの責任者を務める。
目次
CX・イノベーション推進部の仕事
手塚:本日はお時間ありがとうございます。まず、佐藤様・伊藤様のご経歴と現在ご担当されていらっしゃる業務に関してご紹介いただけますでしょうか。
佐藤様:よろしくお願いいたします。東急不動産の佐藤でございます。入社して15年になり、最初の6年間はオフィスビルのリーシングと開発に従事しておりました。その後、海外事業に異動し、アメリカに駐在して子会社で不動産投資の実務を行っておりました。駐在中に、現在の部署が、私がいたオフィスの目の前にある海外のベンチャーファンドに出資するという話があり、その経緯で今の部署を希望し、現在4年目になります。現在は「CX・イノベーション推進部」の「イノベーション戦略グループ」に所属しており、主に以下の3つの業務を行っています。
1つ目は、CVCによるスタートアップへの投資で、WealthParkさんにも投資をしております。2つ目は、グループ共創型社内ベンチャー制度「STEP」の事務局を担当しています。3つ目は、スタートアップと各事業会社や事業部をつなぎ、新しい連携やオープンイノベーションを推進する事業連携支援を行っています。総じて言いますと、スタートアップとの連携を強化し、新しい価値を創出していくという部署です。
伊藤様:東急不動産の伊藤です。私は2016年に新卒入社をし、今年で9年目です。初任から7年は住宅事業に携わり、マンションや土地の売買・計画などを行っていました。住宅事業の経験を経て、CVCの仕事に興味を持ち、異動を希望し、現在はSTEPの担当をしています。
村上:ありがとうございます。少し話は外れますが、佐藤様とは、ニューヨークで東急不動産様が開発された「425パーク・アベニュー」を、とあるご縁から見学させて頂いたのが本当に印象に残っております。エントランスや上層階からの眺めが圧巻でした。その節は誠にありがとうございました。
グループ共創型社内ベンチャー制度「STEP」とは?
村上:早速ですが、本題に移らせていただきます。弊社は昨年、STEPプログラムで事業化候補になった事業計画のITデューデリジェンス(ITDD)を支援させていただきました。改めて貴社の中でSTEPを立ち上げた背景と、その詳細についてご紹介いただけますでしょうか。
佐藤様:グループ共創型社内ベンチャー制度「STEP」は2019年に発足し、2024年度で第6期を迎えます。現在の本社である渋谷ソラスタに移転した際に、「COLABO!(コラボ)」というグループ従業員の交流スペースを作りました。弊社は複数の事業会社が一つになったホールディングスですので、コラボという場所を使って、より交流を深めて新しいものを生み出していこうということで、このような制度ができました。
東急不動産は「挑戦するDNA」という理念を掲げていて、これまでも各事業部や事業会社内では新規事業の起案はあったのですが、そこでできることの限界はどうしてもあったと思います。STEPのいいところは、グループ横断で課題を持ち寄り新しいアイディアが生まれることや、私たちのような部として新規事業をミッションとしているところだけでなく、社員一人一人が立案できることだと思いますね。
村上:STEPについては、ホールディングスのグループ各社様と全然別の文脈でお話させていただく機会でも、たびたび話題に上ります。STEPには多くの応募があると伺っていますが、グループの従業員の皆様にとってはどのようなプログラムなのでしょうか。
伊藤様:これまで事業開発や0から1を作る経験はないけど、課題を感じている社員がたくさんいます。そういう方々が声をあげやすくなったと思います。また、各社が後押ししてくれることで、グループ全体から応募が増えました。実際、昨年貴社とご一緒したチームは、全員がバラバラの会社の人たちでしたね。
手塚:そうでしたね。われわれから見ていても、STEPに応募することは人材開発としてすごく意味があるなと思いましたし、その人にとって財産になるだろうなと感じました。
佐藤様:それは大きいですね。エントリーから応募するまでの研修は、既存の業務でもかなり役立つようなコンテンツになっていますし、新しいことを考える時のマイルストーンや指針になると思います。実際に通過してプレゼンするとなったら、ホールディングスの社長が出てきますので、すごく貴重な機会だと思います。そこから会社化や事業化したら素晴らしいですが、そうならなくても一つ事業を作ったくらいの経験を得られるのではないでしょうか。ダメだった人も「来年も絶対チャレンジします!」となる人が多いですね。
WealthParkに期待したのは「デジタル・DXの専門家」
村上:なるほど。われわれもお手伝いさせていただくなかで、選抜された参加チームの方々が事業に対して並々ならぬ思いを持たれていらっしゃることに感動いたしました。従業員の皆様がそれぞれ思い入れのある課題に対して、会社の業務として全力で取り組める機会というのは得難いものだと思います。今回ITDDをWealthParkにご依頼いただきましたが、どのようなポイントが決め手になったのでしょうか。
佐藤様:われわれの知見が不足している部分を第三者としてみてくださる存在は大切だと思っていました。不動産業界はまだまだレガシーな部分も多いので、デジタル化していくことへの抵抗がやっぱりまだあるんです。その中で、貴社は不動産業界の知見もしっかりあるデジタルの専門家ということで、安心してお任せすることができたなと思います。
今回のプロジェクトをやっていく中で、ただシステムを導入しても何も始まらないというのはよく分かったことでした。事業立上げにおいては、システムをリリースするだけでなく、いわゆる、オンボーディングやカスタマーサクセス、その後の継続運用の部分をどう行っていくか・どう事業計画に織り込むか、が本当に大事ですね。その重要性に気づかせてくださったのが貴社でした。
不動産で考えたら、マンションを作って売った後も修繕費や管理費がかかるって当然のことなんですけど、システムだとそれを分かっていなかったんですよね。システムを作って終わりではなく、その後のメンテナンス、サーバー代、それに関わる人件費などを見積もることもなかなか出来ていない状態でした。そういった理解を、事務局・各チームに浸透させるということも含めて、ご自身で事業をやられている貴社のご意見は、現実的で非常に勉強になりました。事業を大きくしていくという遠いゴールも見据えた上で、そこに行くために「今はこれが必要ですよね」というのをかみ砕いて示していただけたのは、非常に大きなポイントだったかなと思います。
プロジェクトの中で印象に残っていることは?
村上:ありがとうございます。嬉しいお言葉です。新規事業の立ち上げに必要なシステム/プロダクトの概要や、開発のポイント、システム投資の規模感などを提示させていただきましたが、弊社の進め方やアウトプットなどはいかがでしたでしょうか。
伊藤様:私が一番印象に残っているのは、廃材活用のチームでのことですね。チームの案としてはtoBとtoC両方をやろうとしていたのですが、コスト的に難しいという指摘をいただきました。それを受けて、toBから始めてその後toCに広げるという、事業としての優先順位をつけることができました。他のチームもそうですが、「事業をどう成り立たせるか」の指標をいただけたのが非常にありがたくて、印象に残っていますね。
今後も「不動産×デジタル」で新たな価値創出を
手塚:ありがとうございます。最後になりましたが、今後に関して、STEPプログラムに限らず、不動産業界の課題や貴社としては今後どういった取り組みに力を入れていくか、その中でWealthParkに期待することなどもしあればぜひ教えてください。
佐藤様:不動産デベロッパーの仕事は「不動産を開発してお客様に提供する」ということだけではなくなってきています。不動産開発はあり続けるのですが、お客さまの体験価値を高めていくことが必要だと思います。
時代に合わせてどんどん提供すべき価値は変わっていて、変化のスピードも早くなっているので、私たちも常に先を見て新しいことを考えていかなければいけません。ですので、STEPという社内ベンチャー制度からも、もっと新しいものを生み出していきたいなと思います。
また、今あるものの積み上げではなく、あるべき姿から逆算して考えなければいけないと思っています。世界の最前線で起こっていることを、いかに早く察知して自分たちのビジネスに繋げていけるかということが大事になります。「本当に今のままでいいのか?」ということを常に自問自答しながら新しいことを考えていくことが必要だと思います。そこで、私たち不動産業界のプラス面・マイナス面と、貴社が持っているデジタルやDXを掛け合わせることによって、新たな価値創出をしていくことが、私たちの願いでありミッションです。
手塚:まさに貴社の「挑戦するDNA」を感じるお話でした。ありがとうございました!
不動産デベロッパー向けDX事業とは
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