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2021.07.16

【イベントレポート】不動産会社様と一緒に歩んできたから分かる DX導入の失敗と成功の差 (番外編)

この記事は、2021年2月18日に開催されたオンラインイベント「不動産会社様と一緒に歩んできたから分かる DX導入の失敗と成功の差」のイベントレポートです。
不動産テックを運営する3社のカスタマーサクセスチームの担当者によるプレゼンとトークセッションが開催されました。
この記事では、WealthParkカスタマーサクセス部長の鳥谷によるプレゼン内容を「前編」トークセッションの様子を「番外編」としてノーカット文字起こし形式でお届けします。

石村:これからパネルディスカッションを始めたいと思います!
プレゼンの場合、どうしてもお話が一方的に進行してしまいますが、参加者の方々に事前アンケートをとっておりますのでインタラクティブに進めていきましょう!

 

目次

はじめに 登壇者紹介

昨年から急に不動産業界でDXと言われ始めたのはなぜ?

石村:1つ目は、「昨年から不動産業界の界隈でデジタル化やDX化が盛んに言われ始めた原因はなぜ?」というテーマについてです。
例えば、去年9月に菅内閣が発足してデジタル庁を作るみたいな話題が出たりしましたね。
私もデジタル庁について色々調べてみましたが、2021年からデジタルの日ってのができるんですよ。
ユニークだなと思ったのが0と1の付く日がデジタルの日とされていて、10月10日と10月11日の2日間あるんですよ。
やはり、0と1で動くからデジタルの日なんでしょうね。

花畑:それはねー、もうある人がDXDX言いまくってましたからね、セミナーでね。
誰かは言いませんけど(笑)

石村:セミナーは去年は約40回2,000名の方に参加して頂いたんですけど、これにもやっぱり理由があると思うんですよね。
それを今日、パネラーの方に聞いてみたいなと思いまして!
「なぜ去年、DXという言葉が多くなったのか?」ですね。
鳥谷さんどうでしょうか?

鳥谷:一番は、やはりコロナの影響だったかなと思いますね。
元々お客さんの悩みを解決するための投資や改善という意味でのDXは各社やられてたと思いますが、それは企業として当然ことだと思うんですよね。
ただ、昨年からは「コロナの影響によるテレワークや外出規制によって、デジタルというものを活用しなければいけないというのが業界的にも広まったな」というのを感じました。

僕はIT業界で仕事をしている年数が長いので、zoomなどのツールを以前から使用しており、顧客への導入サポートなども行っていましたが、
お客さん側から「そもそも東京の人は来ないでください。zoomでお願いします」という風に普通にzoomのリンクとかが送られるようになるとは思っていませんでしたね。

そのような意味で、コロナの影響が一番大きいと感じていますね。

石村:セミナーの中で「お客さんの価値観が変わった」みたいなお話をされていましたが、どのあたりはどうなんでしょうか?

花畑:そうですね。
例えば、内覧に関しては「人に会わずに1人で内覧したい」との声も多く、非対面での内覧の要望を受ける企業も多かったと思います。
特に、オンライン申し込みに関しては、件数が爆発的に増えたという印象が強いですね。

三好:そうですね。僕としては不動産に関するデータがコロナ禍以前から溜まっていた影響が大きいと思います。
昔は、不動産屋さんの店舗に行かないと物件情報が貰えなかったので、駅前の一等地に店舗を立て、
壁にズラーっと広告を貼るのが情報化でしたが、それが最近になってWeb化されましたよね。

ですので、そこから一歩進み「問い合わせの受付をどうしよう?」「物件の申し込みってどうやるんだっけ?」という部分がDX化された感じですね。

よくあるDX活用の成功と失敗の事例

石村:あくまでデータがあってそれがWeb化されてるからDXに繋がったってことですね。次の質問行きましょう!
「よくあるDX活用の成功と失敗」について聞いてみたいと思います。

鳥谷:そうですね。やはり5ヶ月とか1年のスパンでDX化が成功した事例は、正直ありませんでした。また、今後もDX化に一定の時間が必要であることは変わらないと思います。
よくあるのが、開発側で綺麗なインターフェースで使いやすいアプリを作ろうと頑張る会社さんが多いと思うんですけれども、実際にオーナーさんに聞いてみるとそこじゃなくて「スマートフォンの使い方そのものを教えて欲しい」「指紋認証の方法を教えて欲しい」みたいな要望の方が多いんですよね。
このようなことを考えると、「スマホ使えるじゃん!」「指紋認証って簡単ににできるじゃん!」という感覚をお客様に実感して頂くことが一番重要だと考えています。

石村:さっき「失敗は時間」って言ってましたよね。失敗か成功かじゃない、あくまで時間が大事なんだと。

鳥谷:「打席に何回立ったか?シュートを何回打ったか?」などチャレンジの回数が重要だと思います。紙の明細とか物理的なモノってなかなかスピード変えられないと思うんですけど、コミュニケーションのスピードってデジタルにすることで変えることができますよね。さらに、一度デジタル化してしまうと、スピードは加速度的に上がっていきます。
このことから、「デジタル化によって蓄積されたデータとかをどのように生かすのか?」ということが、DXの本質であると思いますね。

石村:DX化の成功や失敗ってデータの活用によって見えてくるんですかね?

三好:データ活用によって、失敗や成功が見える化されることは多々あると思います。
データ活用によって、成約率や売上も飛躍的にアップする場合もあるんですよね。

石村:紙ではわからなかったし、全ての流入経路がデジタルに変わったからこそ見えてくるデータもありますね。

三好:おっしゃる通りです。今までだと感覚や直感に依存してましたからね。

石村:花畑さんとかは、いまスマサポさんで仕事する前は、特に現場で仕事されてたわけじゃないですか。
そう考えるとどうですかね?この辺は?
(編集注:花畑さんはスマサポ入社前、不動産会社で賃貸営業や法人営業に従事しておられました)

三好:夜中にハンコを押してたり、電話をして、紙で申し込みをもらってってやってましたからね。
急に変わった感はありますよ(笑)

石村:これある管理会社さんのお話なんですが、デジタル化かどうかってデジタルネイティブかどうかってすごく重要だと思いますね。
例えば、デジタルネイティブであれば、あたりまえのようzoom使いますし、あたりまえのように電子申し込みを使うし、LINEだって使うわけじゃないですか?
でもその以前の方々からすると、慣れが大事なのかなって思いますね。

花畑:私なんて全然機械音痴ですしね。
全然使いこなせませんでしたが、今やっとわかるようになりましたよ。

ITツールの導入時に大事なこととは?

石村:それを踏まえて3番目の質問です。「ITツールの導入時に大事なことは何なのか?」について聞いてみたいと思います。

花畑:そうですね、まずデータ整備ですね。
「誰がデータ整備するのか?」ということを社内でしっかり共有して、目線を合わせる必要があるので、導入時の打ち合わせが一番重要なところだと思います。

石村:whyなのかhowなのかとよく言われますが。この場合「なぜデータ整備が必要なのか?」について社内でしっかり共有して、落としていくことが大事ですよね。

三好:難しいですね。大事なこといっぱいありますよね。
ただ、ミニマムでやってみることですよね。やらなきゃわからないので。
ですので、やる前から嫌だって言われちゃうとそこは無理だなって思ってますね。
「ちょっとやってみましょう!」が重要ですね。

鳥谷:そうですね。「失敗に寛容なこと」が重要だと思います。
「これをやったら成功しなくちゃいけない」みたいなのは結構もったいないと思いますね。また、失敗してもITの担当者の方、組織の方だけにとどまってしまうと組織全体に浸透しないので、組織全体を巻き込んで失敗を共有してこそ意味のあるものになると考えています。また、その学びを次へ繋げていける会社さんがDXを推進していける会社になるのでは無いでしょうか。

石村:僕はこのことは本を通して知ったんですけれど、例えばGoogleだと失敗を共有してミスを褒め合うんですよね。それはなぜかというと入り口にチャレンジがあったから。そしてチャレンジがあると失敗する確率が高い。
チャレンジって0-1のことを示すと思いますが、「デジタル化やDXは一種のチャレンジだよね」「チャレンジしてるから失敗って当然だよね」「だからまずやってみようよ!」という姿勢になればいいなって思いますけどね。

花畑:そうですね。やはり失敗を失敗で終わらせるのではなく、軌道修正を続けていくことが重要だと思いますね。

 質問コーナー

—オーナーアプリ側によって売り上げが上がることはありますか?

石村:たくさん質問頂いていますね。
「オーナーアプリによって売り上げが上がることはありますか?」という質問ですが、こちらはどうですかね?

鳥谷:そうですね。例えば、各管理会社さんとオーナーさんがデジタルで繋がったことにより、
「訪問や電話で得た情報が散在して集計が難しい」という課題が解決された事例などはよく耳にします。
例えば、「共有スペースの電気をLEDに変えますよ」だとか、「屋上に電波塔を設置して頂いて借り上げして頂ければ収益化が見込めますよ」とか。
あと本丸として挙げられるのは、物件の売却タイミングを抑え、そこに対して提案をしていくことが売り上げに寄与するためのポイントとなっていますね。

現在、社内ではAI査定をテストしており、2週間ぐらい運用しています。
700名ぐらいのオーナーさんのうち、半分ぐらいの方からAI査定の査定を見て頂きましたね。
また、実際の問い合わせや売却に繋がった事例が2件出ていました。
オーナーさんの数をもっと増やしていけば、4件、5件、6件と増えていくので、その規模になると実際の売上への寄与に繋がるのかなと考えています。

石村:そうですね。ただ、その前段階として、まずアプリにログインしてもらうことが重要ですね(笑)

—不動産業をDX化する場合、難しい領域やそのソリューションは?

石村:次行きましょう!「不動産業をDX化する場合、難しい領域やそのソリューションは?」という質問ですが、ここはどうでしょう。花畑さんどうでしょう?

花畑:ここ行きます!?私が(笑)

石村:管理会社さんだったり、我々のようなシステム提供など多様な領域がある中で、ここの領域はDX難しいんじゃないかとか、現場寄りの意見を聞きたいなと思いまして。

花村:そうですね。
かつては、原状回復の領域とかはDX化が難しいと言われていました。でも、今はその領域でもツールがありますね。
ですので、実際に領域としてはできないところはなくなってきてるんじゃないかなと思います。
「ツールをうまく使えるかどうか?」ですね。そこのところだと思うので。

石村:今、原状回復というワードが出てきましたが、まずは原状回復業者様に使って頂くことがファーストステップですからね。
色々な要素がねじれあってうまく広がってないかもしれないですけれども、例えばアンドパッドさんとか、助太刀さんのように徐々に使えるようになっている気がしますね。

鳥村:ステークホルダーが増えれば増えるほど、その方々のアクションや業務を変えていかなければいけないと思います。
特徴としてはステークホルダーの数によってソリューションが変わるのではないかと感じていますね。

石村:鳥谷さんは2週間お客様の現場に入り込んだりもしていましたからね。

鳥谷:僕の場合、特に管理会社の経験がないので、お客様の間に入ってユーザーの生の声や現場担当者の声を聞くことで現状の理解に努めました。誰々が辞めそうなんですけどみたいな話もして、、、僕にそれ話すのかなと思ったんですけど(笑)
しっかりとリアルな現状を知るのは大事なのかなと思いましたね。

—経営と現場のギャップの埋め方や調整の事例を教えて下さい。

石村:次の質問、すごく本質的なところだと思っています。
「不動産管理会社様や仲介会社様の社内で発生する経営と現場のギャップの埋め方や調整の事例を教えて下さい」という質問ですね。
ここ深堀りしていきましょう!

三好:これこそまさにカスタマーサクセスの部門が挟まれるところですね。営業がめっちゃいいこと言ってるのに実際はどうだみたいな(笑)
ですので、役割を分けるようにしていますね。「経営は意思決定、現場は数字の報告」みたいに。
現場が未来に楽になるっていう将来像に向かって手足動かしてもらうこと。ギャップを埋めるというか、役割を決めてしまうことが必要だと思います。

鳥谷:そうですね。実際にやっていく中で、見ている景色が違うことは起こりうることなので、その部分でのコミュニケーションを諦めないってことは大事かなと思いますね。
「お客様に良いサービス提供し、売り上げを上げていく」という目的は一緒だと思うんですよ。
ただ、現場側では、電話やメール、クレームの対応などオペレーション業務がメインである一方、経営側としては業績やKPIにこだわる必要がありますよね。

ですので、カスタマーサクセスは、現場と経営のハブになることが重要だと思います。
また、オーナー様側からの提案も時系列で変わってきたりするので、オーナー様の提案に応じて、サービスを更新していくことが大事です。

カスタマーサクセスとしては、その部分をうまくファシリテートしていきたいなと思いますね。

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