2021.09.27
【イベントレポート】不動産分野の収益アップのためのDX推進の苦労と解決法(前編)DXアンケート調査の結果と講評
2021年9月、WealthPark株式会社は、株式会社スペースリー、イタンジ株式会社、リーウェイズ株式会社および不動産テック協会を含めた3部構成のオンラインイベントを開催しました。
この記事では、第1弾として、不動産事業者さまを対象とした事前アンケートの結果をもとにした結果報告と講評の様子を文字に起こしお伝えします。
是非、最後までご覧下さい。
こんにちは。WealthPark株式会社の山地と申します。
このパートでファシリテーターを務めさせて頂きます。宜しくお願い致します。
本日のイベントは、株式会社スペースリー、イタンジ株式会社、リーウェイズ株式会社、WealthPark株式会社および不動産テック協会を含めた共同企画です。
2021年6月に実施した「不動産業界のDX推進状況調査」と題したアンケートの結果をもとに、不動産業界におけるDX推進の全体像を把握していきたいと考えております。
まず、具体的なアンケートの結果を報告する前にアンケートの概要をご紹介します。
今回のアンケートですが、219社、237名の不動産事業者さまにご回答頂きました。下記の表の通り、管理戸数、事業規模ともに幅広いタイプの事業者さまにご回答頂いております。
今回のアンケートで質問させて頂いた内容は以下の通りです。
目次
社内におけるDX推進の目的DX推進の目的
では早速、アンケートの結果を振り返っていきたいと思います。
一つ目の質問は、「社内におけるDX推進の目的」についてです。
まず、一番下の「DXを推進していない」という業者様の比率に注目してください。
DXを特に推進していないとご回答頂いた事業者さまが7.6%です。この数値ですが、視点を変えると90%以上の事業者さまは何らかのDX施策を講じていることを意味しています。
これは、昨年、同様の質問と比較して約1.5倍に拡大しており、ほぼ全ての事業者さまがDXを推進している状況であると考えることが可能です。
また、「DX施策の目的」に注目しますと「業務効率化」と回答された事業者さまが約85%を占めており、ほぼ全ての事業者さまは「業務効率化」を目的にDXを推進していることがこの結果からわかります。
このアンケートは複数回答が可能ですので「業務効率化×集客力アップ」「業務効率化×新規事業展開」などと回答される事業者さまもいらっしゃったかと思いますが、実際には、ほぼ全ての事業者さまが共通して「業務効率化」を目的に掲げていることが明らかになりました。
「DX推進と従業員規模の関係性」に着目した場合、従業員数が多い会社様ほどDX推進をされている傾向があることがわかりました。特に従業員数が100名以上の会社様は、全て何らかの形でDX推進に着手しており、不動産業界でのDX推進の温度感は近年非常に高まっていると考えることができそうです。
DX推進で苦労していること推進で苦労していること
一方、「DX推進で苦労していること」についての回答を見ると、DX人材の確保に課題を感じている会社様が45.7%であり、2社に1社はDX人材の確保に課題を抱えていることがわかりました。
質問の内容が若干異なりますが、右下に掲示した昨年の回答を見ても「知識やノウハウ」「人的リソース」に課題を抱えている事業者さまの比率が多くなっています。
この結果から、DX推進を行ってはいるものの社内でDX施策を牽引したり、「DX施策を実行する人材が不足していること」が課題であるという実態が浮き彫りになりました。
「従業員数とDX人材確保の関係性」を照らし合わせると、従業員数が多くなればなるほどDX人材の確保に課題を感じているケースが多いことがわかりました。
一般的には、従業員数が多い会社様ほど、多様な人材が在籍しているので、人材確保に課題を抱えづらいように思われがちです。しかし、意外なことに、会社規模が大きくなればなるほどDX人材の確保に課題を感じることが多くなるという調査結果が得られました。
小規模の会社様であれば、経営者の方が直接現場の指揮を取られることも多いのかもしれませんが、会社規模が大きくなると「現場に誰がいるのか?」を問われることが多くなります。また、オペレーションが複雑になる傾向が多いため、DX施策の陣頭指揮をとる方の確保に悩むようになるのではないでしょうか。
DX推進における年間予算推進における年間予算
「DX推進における年間予算」について見ていきましょう。
DX推進に年間1000万以上投資している会社様が18%と約2割を占めていました。
また、回答頂いた企業様の約半数が100万円以上のDX施策への投資を行っており、何かしらのDX施策に資金を投下している会社様が一定の割合でいらっしゃることがわかりました。
こちらも従業員数ごとに年間予算と照らし合わせると、従業員数の規模とDX推進への投資額がリンクしておりました。従業員数100名から500名の会社様ですと、約4割程度が500万円以上のDX施策への投資を行っており、500名以上の会社様は、約6割が年間1,000万円以上のDX投資を行っていました。
DXを推進していく上では、様々なDXツールが導入対象となりますが、数あるツールの中で圧倒的に導入が進んでいるツールはWeb会議システムでした。
各社様とも日常的にオンラインミーティングやテレワークでWeb会議ツールは導入されており、このイベント自体もzoomを利用しています。Web会議ツールは既に日常に溶け込んでいると言えるのではないでしょうか。
また、「オンライン内見システム」「チャットツール」「CRMツール」などの導入も進んでいることがわかりました。傾向としては、非対面接触やテレワークをサポートするためのサービスの導入が進められているようです。
ちなみに、「導入を検討している」というフェーズに着目すると、「電子契約システム」の導入の検討が進んでいることがわかります。これは、来年行われる法改正に向けた動きであると考えており、導入を検討している会社様の比率が41%と各社様導入の検討へ向けた温度感が高まっていることがわかりました。
各サービスを導入した際の満足度に着目すると、Web会議システムのサービス満足度が圧倒的に高くなっています。また、「IT重説のためのシステム」や「AI査定システム」が、不動産業界に特化したサービスとして高く評価されていました。
これらのサービスは、今後も導入が進んでいくのではないでしょうか。
コロナ禍前後でのDXツールの導入進捗を分析すると「ウェブ会議システム」「オーナーアプリ」「電子契約システム」の導入が進んでおります。この背景として、コロナ禍をきっかけとしたエンドユーザー様の価値観や行動の変化がこれらのツールの導入を促進しているのではないでしょうか。
電子契約への移行体制について
最後に、法改正に向けた電子契約に移行する体制についての回答結果をご紹介します。
電子契約への移行を検討していない事業者さまは、全体の17%でした。このことから、80%以上の事業者さまは、法改正に向けた何らかの施策を行っているという実態が読み取れます。
一方、オペレーションやシステム選定に不安を感じる事業者さまも一定数いらっしゃいました。法改正に向けたDX推進においては、今後より綿密な情報収集や準備が必要になってくると思います。
まとめ
今回行ったアンケートに関するまとめです。
「DXの推進状況」に関しては、90%以上の事業者さまがDX施策を推進しており、昨年比でも1.5倍と大きく伸長しました。従業員数100名以上の事事業者さまに関しては全ての回答者がDX施策を推進しており、非常に熱量が高まっております。
「DX推進の目的」としては、圧倒的多数が「業務効率化」を目的としてDX施策を推進しているようです。
DX推進における課題に注目すると、最大の課題は「DX人材の不足」であり、従業員数が多い会社様ほど人材確保に苦労していることがわかりました。
「DX推進における予算」に関しては、DX施策への年間予算を100万円以上に設定する事業者さまが過半数という結果でした。不動産業界におけるDXへの投資は本格化しているようです。
ツールの導入状況に焦点を当てますと、非対面接客やテレワークに対応するサービスが増加傾向であり、「電子契約システム」は導入検討層が多いことからも、法改正に向けてこれからの導入本格化が見込まれそうです。
ここまでが今回アンケートで明らかになった「不動産業界のDX推進調査」の全体像です。
この内容を頭に入れてこの後のセッションにご参加頂けると、より有意義な時間になると思います。
皆様、ありがとうございました。