Articles

2020.04.24

CIO鈴木の連載記事 | 保有マンションを今売るべきか?買うべきか?新築・中古マンションのデータを基に考える

保有マンションを今売るべきか?買うべきか?これは絶対的な解は存在しないものの常に気になる課題です。
今回はこのテーマについて新築・中古マンションに係る足許のデータを基に考えてみたいと思います。
皆様のご参考になるようでしたら幸いに存じます。

目次

1. 新築マンション販売動向

株式会社不動産経済研究所が公表する2019年度の新築マンション供給戸数は前年比で、東京都区部15%減、東京都他28%減、神奈川県22%減、大阪市1%増、大阪府他17%減と大幅な減少となっています。

東京都区部外と神奈川県は大幅な下落となっていますが、足許の新型コロナウイルスの影響が本格化すると少なくとも短期での供給戸数は更に減少するものと思われます。

図1 新築マンション供給戸数

一方で、新築マンションの㎡単価は図2の通り、前年比で、東京都区部1%減、東京都他5%増、神奈川県横ばい、大阪市5%増、大阪府他4%増と概ね増加傾向となっています。㎡単価の増加背景には建築コスト等の増加に加えて、図1で見た通り供給戸数が減少していることが背景にあると考えられます。

図2 新築マンションの㎡単価(万円)

上記の通り、㎡単価が東京都・大阪府が増加、神奈川県横ばいとなっておりましたが、図3の通り、総務省統計局の公表する人口増減率を見てみると、東京都は人口も7.1%と高い前年増加率で推移している他、神奈川県も2.4%増と人口の増加が㎡単価増加を下支えしているように見えます。

これに加え、沖縄県の人口が3.9%増加していること、対照的に北海道の人口が6.8%減少していることは特筆すべき点かと思います。

図3 都道府県別人口増減率(各年10月1日時点)

これらから、東京、神奈川、大阪の新築マンションについては全体的な供給減少傾向の中で更に足許新型コロナウイルスの影響により供給減となる一方、ファンダメンタルとして少なくとも東京は人口増加率が高い中、このファンダメンタルが突如変わることも想定しづらい中で、㎡単価は中長期で見る限り上昇、神奈川も一定程度同様のロジックで横ばいから微増するように思われます。

一方で、直近のデータが取得できていないものの、沖縄県も大幅な人口増加率からも注目すべきエリアであると考えられます。

2. 中古マンション売買動向

さて、中古マンション売買の動向に移りますが、公益財団法人不動産流通推進センターによると、過去1年間の中古マンションの売買成約件数は図4の通り、2020年3月においては北海道12%減、東京都9%減、神奈川県16%減、大阪府3%増、福岡県18%減、沖縄県14%減と主要都市では大阪を除いて減少となっています。

この点、既に新型コロナウイルスの影響によるものと思われますが、今後短期的には成約件数は減少するものと見ています。

図4 過去1年間の中古マンション売買成約件数

一方、㎡単価の推移を見ると図5の通り、2020年3月で前月比北海道1%増、東京都1%減、神奈川県2%減、大阪府横ばい、福岡県3%減、沖縄県5%増となっています。

図3において沖縄県の人口増について触れていますが、沖縄県での㎡単価は中長期では増加していくということでしょう。一方で、足許㎡単価が減少している東京都・神奈川県については上述した通り、短期的には新型コロナウイルスの影響がどう影響してくるかについては、一概に言えませんが、今後も人口増加のファンダメンタルが続くことを想定する場合、足許及び今後一定期間の新規マンション着工・販売減少は需要に対する供給不足を更に招くということにもなり、必ずしも物件価格は下落し続けるということではないという見方もできるかもしれません。

図5 過去1年間の中古マンション売買㎡単価(単位:万円)

記の通り、新築・中古マンションについて直近のデータと共に見てきました。

日本政府は新型コロナウイルス対策として家賃支払猶予等も検討しているとの報道もある中、物件価格が必ず下落するということでもなく、ファンダメンタルとしての人口増加、需給等を鑑みますと、売却・購入を今待つべきか、それともこれを機会に売却・購入に動くか、必ずしも答えは一つでは無いように思われます。

皆様のご参考になればありがたいと思います。

RELATED ARTICLES