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2020.06.05

CIO鈴木の連載記事 | パリの不動産について~テラス・バルコニーの観点から~

日本の中古マンション価格については、新型コロナウイルスの影響等も踏まえまして、先般お伝えさせて頂きました。

今日は全く確度を変えて、パリの不動産について、テラス・バルコニーといった観点から共有させて頂きます。

不動産価値の査定・ビジュアライズサービスを提供するPriceHubbleが調査した過去1年間の32,000件の物件販売情報によりますと、パリ全体のうち21%はテラス・バルコニー付きであり、特にテラス・バルコニー付きが多いのは15区(31%)、16区(28%)とのことで、少ないのは2区(7%)、3区(8%)、4区(9%)とのことです。

15区、16区は外側で、2区はオペラ通りに近く、3区はマレ地区・ピカソ美術館・ヴォージュ広場、4区はシテ島・ノートルダム大聖堂・ポンピドゥーセンターで有名です。

テラス・バルコニー付きと言っても、広さは千差万別で50㎡を超えるものも2%程度はあるようですが、パリ全体で見ると9㎡を下回るテラス・バルコニーが64%と過半超を占め、5㎡を下回るテラス・バルコニーは27%とのことで、殆どはそれ程大きくは無いようです。

各区別にテラス・バルコニーの平均的な広さを見ますと、シャンゼリゼ通りで有名な8区(10㎡)、1区・4区・14区・15区・16区(8㎡)と比較的大きく、中心部であり、サンジェルマンデプレ教会やリュクサンブール公園のある5区・6区は5㎡と狭くなっています。

一方で、価格については、5㎡のテラス・バルコニーの場合で、1㎡当たりの価格は6区が最も高く8,400ユーロ、ルーブル美術館のある1区・エッフェル塔のある7区が次いで7,000ユーロ超、反対に最も低いのは北東の19区で4,000ユーロ程度、南側の13区がこれに続きます。

この点、テラス・バルコニーの広さが20㎡と広い場合は、1㎡当たりの価格は5㎡の場合と比較して安く、例えば1㎡当たりの価格が最も高い6区において、5㎡のテラス・バルコニー価格は前述の通り1㎡当たり8,400ユーロですが、20㎡の場合は1㎡当たり5,350ユーロとのことです。

これはある程度当然のようにも思われますが、PriceHubbleのフランスMDであるLoeiz Bourdicによれば、需要が逼迫しているパリにおいては通常部屋がワンルームのように小さくても、3部屋のように広くとも1㎡当たりの価格は同じとのことで、テラス・バルコニーについて異なる傾向があるのは興味深いとしています。

同氏は、新型コロナウイルスの影響を受けて、今後テラス・バルコニーはより重視され、価格はより上昇するだろうとしています。

以上、今回はパリの不動産価格について、テラス・バルコニーという観点から、PriceHubbleのデータを基に情報を共有させて頂きました。

PriceHubbleのパリにおけるデータ正確性については筆者も認識しておりましたが、売買価格のみならず、テラス・バルコニーといった角度でのデータ収集・分析を可能としているというのは素晴らしいですね。

PriceHubbleはスイス本社でフランス・ドイツ・東京を拠点として、不動産価値の査定・ビジュアライズサービスをBNP Paribas等欧州金融機関・大手不動産会社に提供しており、5月には欧州委員会(European Commission)及びFinnova Foundationにより推進される欧州不動産テック上位50社(Top 50 EU Proptech startups and scaleups)に選出されています。

WPは本年1月20日にPriceHubbleとの業務提携契約を公表しておりますが、今後も皆様により良いサービスを提供してまいります。

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