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2023.10.02

特別対談企画(後編)1つの取引が運命を変えた。サムティプロパティマネジメント植田社長の半生から学ぶ「管理会社代表のあるべき姿」

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「不動産管理会社のいまを知る」をテーマに、業界をリードするゲストをお迎えし、貴重なお話をお伺いする連載企画。第22回は、関西エリアを中心に全国で不動産管理業を展開するサムティプロパティマネジメント株式会社 代表取締役社長 植田氏にお話を伺いました。後編では、サムティ本社内でどのように仕事と信頼を得たのか、女性役員登用の背景、管理業務に携わる皆様へのメッセージについてお話しいただきました。(後編/全2回)

ゲストプロフィール

サムティプロパティマネジメント株式会社 代表取締役社長 植田 剛志 氏
高校卒業後、不動産業を営む父親がオーナーを務める京都のホテルに就職。半年間の下働きを経て、支配人としてホテル運営を取り仕切る。本業務を通し人材マネジメントを覚える。バブル崩壊とともにホテル業が廃業となったため転職。複数社で働いた後、建築業に就職し、阪神淡路大震災復興時期に兵庫県の工務店に派遣され、現場業務を一通りマスターする。親戚からの相談に応え、不動産管理会社 関西コミュニティ部長に就職。一から管理業務を学び、3年後管理部門を独立させ株式会社カンコミの代表者に就任し、事業を拡大する。リーマンショックの影響で経営が傾くなか、事業を通し親交のあったサムティ株式会社に会社を売却し、新たにサムティ管理株式会社となる。同社の専務取締役として活躍した後、2022年にサムティプロパティマネジメント代表取締役社長に就任。趣味は料理。休日には従業員を自宅に招き、手料理を振る舞う。

目錄

ビジネスで一番大事にしているのは「継続性」

ーーサムティ管理となり、事業そのものはどのように進めていきましたか?

振り返ると、目標に向けて事業を進めていたというよりかは、その時々で自分が良いと思うことを事業として膨らませていたイメージです。例えば、大阪でサムティがワンルームマンションの分譲投資を取り扱っていると聞けばその管理を担当したり、管理とは関係ありませんが手元に土地があったので建売事業を立ち上げてみたりと、その時々でこれだと思うことに取り組みました。

またサムティには、注力したい事業や業務に集中するため、外部に委託できる業務はアウトソーシングする文化があります。その視点で見ると私にとって社内は仕事の宝庫で、手付かずの案件を見つけては「あの仕事、任せてください」「この改修工事もできます」と引き受けていました。

ーー「仕事を任せてください」と口だけなら誰でも言えるため、行動に移すにはやはりチームを作らなくてはいけませんよね。前半で少し話題に出てきた東京支店の立ち上げにしても、人材配置1つを取っても、新たに採用するのか、大阪本社から人材を送るのか、そもそもどのような資格を有する人材が適任なの、業務はどこまで行うのかなど、さまざまな可能性を考慮し、検討しなくてはならないはずです。ある意味で植田社長はずっと頭の体操をしている状態だと思いますが、ここまで会社を大きく成長できた秘訣は一体何なのでしょうか?

チャンスに迷わず飛び込めるかだと思います。例えば、東京支店の立ち上げはエイヤーで始めました。きっかけは、ある海外ファンドが東京23区内にサムティが保有する物件を十何棟も購入したからです。当時の私は東京のことなど何も知りませんでしたが、サムティの役員から「やってみないか?」と声をかけられ、二つ返事で引き受けました。会社として初となる外部ファンド物件の取り扱いに否定的な意見もありましたが、「きっとやれますよ。できるでしょう」と私は返しました。

この案件をきっかけに東京支店を設立しましたが、ある意味で仕事ありきの発想でした。管理会社の場合、人を雇い、仕事を取るのは利益が出ている状態でないと相当難しいからです。仮に営業を2〜3人雇い仕事を探しに行かせても、すぐに大きな仕事が見つかることはまずありません。最低でも2〜3 年は売り上げが出ない期間もあるでしょう。だから仕事があるというのは本当にチャンスですし、十何棟もまとめて管理ができるのは大チャンスでした。

ーービジネスの組み立てとして、ある意味ではっきりとしたロジックを植田社長がお持ちのように感じました。

私がビジネスにおいて一番気にしているのは継続性です。どのようなビジネス・取引先であっても、継続性のある内容や相手であるかを大事にします。東京支店の話で説明すると、十何棟もの新築賃貸マンションの管理であれば、案件さえ継続できれば、ふわっと計算しても2〜3人の従業員を雇い続けられます。基盤が整っていれば、そこから東京の事業が伸ばせると考えました。経営者としての嗅覚や経験というよりかは、継続できるかできないかという判断そのものが、ある意味で私のビジネスにおけるリトマス試験になっています。

ーーある意味で計画的にというよりも、瞬発力に加え、臨機応変に対応できる植田社長の力があるからこそ事業がここまで大きくなったのだと思いました。経営者によっては、自身の考えから抜け出せないケースも少なくはありませんよね。

確かに、私には計画的という部分が抜けています。もう白紙なんですよ。少しカッコ良すぎるかもしれませんが、自分を白紙にするというのが私の経営スタイルです。それこそ、スケジュールを詰め込むのも苦手でして。頭の中に何もない状態でないと物事を考えられないからです。気がついたら何も予定がない日もあるため、何か突発的に問題が生じたとしてもすぐに対応できますし、急なお誘いにも応じやすいです。

「社内では絶対にネガティブなことを言わない」クレーム対応に頑張る従業員の気持ちを少しでも和らげたい

ーー現在までに170名近くまで従業員数が増え、各拠点の強化も行われているなか、積極的に自社採用を進められていますよね。過去には採用が大変な時期もあったと伺いましたが、少しずつ環境が変わり、採用のあり方も変化していったのでしょうか?

サムティグループに入ったことで、いろいろな意味で採用がやりやすくなりました。昔は東証一部上場企業、今だと「東京証券のプライム市場に上場している企業の子会社」という宣伝文句が使えます。勤務地は御堂筋沿線と通いやすく、業務時間は9時から17時50分まで、週休 2 日というのもアピールポイントです。他社と比較したわけではありませんが、働き続けている従業員が多いのも採用で伝えるポイントの1つです。

ーーこの仕事を続ける上で、植田社長が意識していることを教えてください。

社内では絶対にネガティブなことを言わないようにしています。従業員たちはお客様からのクレームに日々対応しているため、社内を少しでも楽しくできないかといつも考えています。お客様からクレームの電話を受けたあと、上司から「なんのクレームだった」「お前の受け取り方が悪いんちゃうか?」みたいなことを言われたら、従業員もしんどいですよ。それこそクレームには、理不尽なことや我々にはどうしようもないことがいっぱいあります。私もクレームを受けていた経験があるからこそ、酷いことや理不尽なことを言われるのは嫌でしたし、辛さが分かります。

ーー経営者として寛容であるべきと思う一方で、難しいのかなとも感じています。

もちろん従業員が横着したことで起こったクレームは、他の従業員にも迷惑がかかるので叱ります。とはいえ、従業員の気持ちを少しでも和らげ、抜くところを抜いてあげる意識を経営者が持つことは、皆が楽しく働くうえで大切だと思います。

ーー確かにお客様から褒められることもなく、クレームを受け続けるのは大変な仕事ですよね。

そもそも、管理業務は面白い仕事ではありません。我々の業界はクレーム産業です。仮に 364日普通に家で生活できていたとしても、雨漏りが1日でもあればお客様から怒られてしまいます。雨漏りが2日間続けばえらいことですし、3日目に入れば「何しとるんや」と叱られます。

「1年間、ほぼ雨漏りしていなかったではないですか」なんて言い訳はお客様にはできませんし、しっかり対応しても誰も褒めてはくれません。管理職であればなおさらです。だからこそ、どうにかして従業員を労わりたいという気持ちになりました。

ーーある意味、この方法は植田社長と従業員の関係性が近いからこそできるのだと思いました。会社の規模が大きくなるほどに、距離感を保つのが難しくなるようにも感じます。

今の会社の社長になってまだ1年ですが、私は社長という仕事をしているだけという認識です。部長時代も専務時代も、仕事の一環としてそれぞれの役職を役割として演じている気持ちでした。あくまでも社長という仕事をしているから、部下に注意や指導をするという発想です。

長年会社に貢献してくれた女性従業員を役員に登用

ーーサムティプロパティマネジメントでは、非常に女性が活躍しやすい、もしくは女性が多く登場する組織が作られている印象です。植田社長は、女性活用においてどのような点を日々意識していますか?

私は、根本的に女性の方が総合的な能力が高いと思っています。なぜなら男性は、計算が早い、力が強いなど、ある1点に突出して力を出すことに長けているからです。さまざまな力を持つ男性たちを、女性が全体からコントロールした方が絶対にコトは上手くいくと私は考えています。実際に関西コミュニティ時代から、会社はかかあ天下で上手に回ってきました。今の女性を登用する流れは、ある意味で時代が私にやっと追いついてきたと思います(笑)。

ーー先ほどの働き方にしても、植田社長のスタンスや意識が結果的に今の時代に合っているのだと思いました。

昔から、「働く女性を大事にする」という想いは持っていて。単にその考えをそのまま表に出してるだけなんです。だからこそ私たちの女性やその働きに対する取り組みは、取って付けたものにはなっていないと思います。産休で現場を離れた女性従業員が復職後に同じポジションで働くなんて、社会問題になる前からずっと行っていましたし、私たちからすると当たり前のことです。最近は、長年働いてくれた女性従業員をついに役員へ登用できました。

ーーぜひ、その女性従業員について詳しく教えてください。

その女性は関西コミュニティ時代に中途従業員として入社してきました。月給は16万円、ボーナスも残業代もない時代から働いている従業員です。彼女はシングルマザーだったため、その頃は子どものためにも仕事を頑張らないとという思いで働いていたそうです。保育所の迎えなど、子育てがあるため残業ができないことから、毎日定時までに仕事を終わらせ、退社していました。時間内に仕事を終わらせるという彼女のスタンスは、今の事務メンバーにも引き継がれています。

元々、彼女は別の事務業務を担当していましたが、試しに経理の仕事もお願いしたところ、全然知らない分野にも関わらず上手に仕事を回してくれました。引き続き、カンコミでも経理担当として活躍してもらいました。想像以上にお金のない会社でしたが、従業員の給料は一度も遅延したことがありません。彼女が絶対に従業員の給料を遅延させないと徹底したからです。資金繰りが滞りそうなときは、どこの支払いなら待ってもらえそうかを彼女と相談し、私が相手に頭を下げに行くという連携を取っていました。

会社を譲渡しても彼女はついてきてくれました。サムティは上場企業ということもあり、本社の経理部には京大や阪大卒のメンバーが多数所属していましたが、彼女はそこでも周囲を驚かす力を発揮します。それだけの力を出せたのは、彼女は資金繰りから事業譲渡まで、会社経理に関わることをこれまで全て一人でこなしてきたからです。本社の経理メンバーからも「すごい能力を持つ人だ」と次第に認められていきました。

ーー誠実で努力家な方というのが伝わってきました。どのようなきっかけでその女性が役員に登用されたのでしょう?

ちょうど私が社長に就任する時期だったこともあり、サムティ代表取締役社長の小川から「役員だけど、植田はどうしたい?」と言われていました。役員としてサムティ本社から出向していた従業員が、本社へ戻らないといけない時期だったからです。そのため、社内から2名役員を選出する必要がありました。うち1名は絶対に女性を入れたいと思い、彼女にお願いしました。もう1名の役員はカンコミ時代から働く男性従業員です。ここまで自分を信じてついてきてくれた従業員たちを役員に登用できたことに、この時は感慨深いものを覚えました。

多数の物件を管理すればするほど、管理会社の企業価値は高まる

ーー女性のみならず、男性も含めた働き方で植田社長が意識していることを教えてください。

父の教えに「家のことができてないのに、仕事ができるわけがない」という言葉があります。家の問題を抱えたまま仕事に集中するのは難しいから、仕事の前に家の問題は解決しようという意味です。それこそ仕事は最後にはどうにでもなりますが、家庭の問題はその人自身が解決しなくては前に進めません。

だからこそ家庭を優先すべきだと思いますし、仕事も結果的に疎かにならなくなります。従業員には「家族の問題は大なり小なり順番で起こるから、何かあれば仕事は皆で対応しよう」と昔から伝えてきました。この意識は社内に浸透しており、社員たちも「順番だから気にしないで」とお互いを支え合っています。

ーー植田社長から管理会社で働く皆様へメッセージをお願いします。

昨今、各種AIやツールがどんどん出てきたため、人と人のやり取りが苦手な人材や企業はどんどん淘汰される時代になると思います。いくら作業ができても、AIの処理速度には勝てないからです。だからこそ、人と人のやり取りが強い人材や企業が生き残る時代になるはずです。

よその業界には「クレームは宝」みたいなことを言う経営者もいますが、お客様から我々に届くクレームは宝物でも何でもなく、正真正銘のお困り事です。そのため10年以上前までは不動産業界内でも管理業務にはマイナスのイメージがありましたが、この5年で「管理の仕事をしたい!」と言ってくれる若者が増えてきました。「縁の下の力持ち的なポジションの仕事がしたい」という人も多いです。

ワークライフバランスという側面でも管理の仕事は相性が良いと思います。なぜなら管理業務はテレワークが行いやすいからです。フロント業務は少し厳しいかもしれませんが、事務や経理関係なら在宅でも働けると思います。コロナ禍を機にテレワークが浸透したことで、今後少しずつ各社でテレワークが認められていくのではないかと私は予想しています。

働きたい女性が堂々とその人らしく、かつワークライフバランスも大事にしながら働けるという意味でも、管理業界は適していると思います。

ーー仕事に誇りを持つことができ、かつワークライフバランスまでしっかり取れるようになると、より働き甲斐が生まれますね。植田社長は、管理会社の不動産業界における価値について、今後どうなると思いますか?

管理会社は少しずつ脚光を浴びていくと思います。過去にサムティ代表取締役社長の小川から「管理会社のようなフィービジネスはすごく大事」という話をされ、嬉しかったことがあります。なぜなら不況のときほど、管理会社のようなフィービジネスが事業を安定させるからです。

さらに小川は我々の会社の価値は「本社の価値とあまり変わらない」と言います。その理由は、サムティプロパティマネジメントが多数の物件を管理しているからです。まして、リートやファンドなどの特殊案件の管理戸数もどんどん増えていることから「会社の価値としてサムティプロパティは実はかなり高い」と小川は話します。現在のサムティグループは 1兆円企業に迫る勢いですが、企業価値を高めるためにも、我々はより一層、管理戸数を増やさなくてはならないと感じています。

ーー植田社長、ありがとうございました。

前編はこちら

インタビュアー:WealthPark Founder & CEO 川田 隆太

サムティプロパティマネジメント株式会社

代表取締役社長 植田剛志
大阪府大阪市淀川区西宮原1丁目8番39号 S-BUILDING新大阪6F
会社ホームページ: https://www.samty-pm.co.jp/

<本件に関するお問い合わせ先>

サムティプロパティマネジメント株式会社
Contact: https://www.samty-pm.co.jp/contact/

WealthPark株式会社 広報担当
Mail: pr@wealth-park.com

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