2019.10.23
大企業から旅人、そしてスタートアップの事業開発担当に。人生100年時代を見据えた30代の新しいキャリアの作り方
新しい資産運用体験の実現を目指すWealthParkには、様々なバックグラウンドやスキルを持つメンバーが集まっています。社員インタビューでは、それぞれのメンバーが日頃どの様な思いでWealthParkで働き、組織や事業に関わっているかをお届けしていきます。
今回は、ユニークな経歴を持つ山地さん。新卒から9年半勤めたリクルートを退職し、アフリカ・南米を中心に1年以上かけて旅をした後、新たなチャレンジの場として彼が選んだのがWealthParkでした。今の時代を反映する様な山地さんのキャリアシフトから、自分らしく人生を設計するヒントに迫ります。
プロフィール
山地壮太 | Souta Yamaji
大阪出身。学生時代は飲食業のバイトに明け暮れ、貯金が溜まったら海外でバックパッカーをしたり、友人と一緒に「旅部」を立ち上げて野宿をしていた根っからの旅好き。卒業後は2008年から2017年までリクルートジョブズ/リクルートキャリアに勤務。営業職や代理店推進、統括・戦略部門のマネジメントなど幅広い経験を経て退職。旅に出た後、WealthParkに参画。グロービス経営大学院MBA取得。
目次
幅広い経験を積んだリクルート時代
― 前職のリクルートでは、約9年半と長く勤められていましたね。同社ではどの様なキャリアを築かれていたのでしょうか?
リクルートジョブズに所属しながら、途中でリクルートキャリアも兼務していた形で、グループ内の求人系の2社で働いていました。新卒で入社した最初の1年は「ザ・営業」で、テレアポや飛び込み営業を1日中行って新規顧客を開拓する日々。徐々に大きな案件も任せられ、顧客の事業が伸びる為にはどんな人材が必要か、採用に関する提案をしたり、顧客の組織設計や事業戦略そのものに関わらせてもらう事が増えていきました。
営業を経験した後は、リクルートと提携する営業代理店(リクルートから求人広告の販売を請負う)の経営支援を担う「代理店渉外」に。営業も面白かったのですが、より経営的な要素のある仕事にチャレンジしたいと自ら志願しました。
― 営業代理店にとって、渉外はコンサルタントの様な立ち位置になるのでしょうか?
そういう要素もあります。ただ、代理店はクライアントではないですし、求人メディアを運営するリクルートとその販売を担う代理店は、パートナーとして相互に依存している側面もあるので、運命共同体の様な関係です。僕がいた時は、一人の渉外が大体2、3社を担当し、各代理店の営業戦略や売上目標を一緒に立てたり、経営に全面的に携わっていました。
当時の渉外の役割は大きく言うと2つあり、1つは自社と代理店の結節点として、方針や戦略における合意形成を行っていく事。要するに、運命共同体としての二社の協働関係を構築していく役目があります。
もう1つは代理店の事業売上を伸ばす事。最適な手段は渉外それぞれに委ねられていて、営業戦略に注力する、組織を強化する、社長に掛け合って投資を促す、自ら顧客先に出向くなど、事業全体を見て中長期的に売上を伸ばす最適な手段を考える事も渉外の仕事でした。
営業時代は目の前の自分の顧客に対して、採用に関わる部分のみに提案を行えば良かったのが、渉外は他社である代理店を動かして結果を出す事が求められる。新たなチャレンジでした。
次世代のマーケットの創出にチャレンジしたい
― 前職では最終的に戦略部門のマネージャーまで務められたんですよね。
代理店渉外までは営業系のキャリアパスでしたが、最後の3年間は企画系にシフトし、統括部門や戦略部門のマネージャーを務めました。
統括部門では、コンプライアンスの観点から全社の営業ルールを構築したり、社内の予算管理や代理店事業運営のオペレーションを統括したり、どちらかというと「事業を守る」領域を担っていました。
戦略部門では、中長期の戦略立案・推進を担当し、例えばセールスチャネル全体の人員計画と実現に向けた推進や、代理店モデルの在り方や手数料の設計、新商品の戦略設計など、事業を作る領域に取り組んでいました。
― 9年半勤めた前職を辞めるに至った理由は何だったのでしょうか?
いわゆる大企業の戦略推進に関わる中で、明日どうなるか分からないところに飛び込んで、次世代のマーケットの創出にチャレンジしたい気持ちが芽生えたからです。
前職の事業は既に規模も社会的責任も大きく、思い切った事業創造・事業変革が求められるフェーズではないな、と感じていました。短期の業績ではなく中長期の視点を持って新たなマーケットを創出する様な、めちゃめちゃダイナミックな勝負は出来なくて。扱う数字は大きいですし、組織も含めてすごく好きな会社ではありましたが、次第にスタートアップへの転職を視野に入れ始めました。
あとは、単純に旅がしたいなと(笑)。きっかけとなったのは、100歳まで生きる事を前提に人生を考えてみようと提案する、リンダ・グラットンの「ライフシフト」。読んだ当時は30歳で、80歳まで働く気持ちがあったので、今のうちに自分なりに世界を見た上で、残りの50年間を働く方がこの先の人生を豊かに生きられると後押しされました。
次を決めて退職するつもりもなく、退職から転職までの時間は自分で自由に調整出来るし、もう今だと思って。体力も好奇心もあるし、貯金もある程度溜まって、完璧なタイミングやなと(笑)。旅するので辞めますと言って、30代で無職になりました。
― 周囲の反応は?
まあ驚かれましたよ。転職や起業で退職する人は多いのですが、新卒から9年半勤めて、何も決めずに旅を理由に辞めたので。でも近しい人で「山地っぽいね」と言ってくれる人もいました。
旅をしている自分も、大企業で働いていた自分も同じ
― 旅先はアフリカ・南米中心だったのですね。印象に残っている国はありますか?
旅先にアフリカ・南米を選んだのは単純に遠いから。仕事を再開するとなかなか行けないですしね。面白かった国はエチオピア。他のアフリカ諸国と異なり、一時期を除いて植民地化された歴史がなく、文化に独自性があるんです。暦も時間の単位もエチオピア独自のものがあったり。
2〜3週間程滞在して、少数民族の村も訪れました。その村でホームステイして、茶色い川の水で作った謎のお酒を飲まされたり、個人で雇っていた英語ガイドが飲酒運転で捕まってしまい刑務所に入ってしまうなど、色々ユニークな出来事も起きました(笑)。
― 旅を通して物事や情勢に対する巨視的な視点とか、得たものはありましたか?
ないですね(笑)。でもそれぞれの土地の標高や海との距離や気候といった地理的要素がどのように経済に影響したり制約になるのかをダイレクトに見て取れて、世界を地理で捉える感覚が自分の中で育まれたかなとは思っています。
そもそも旅を通じて自分が変わったという感じもあまりないんです。知らないものを知って、初めて見るものを見て、初めて知り合った人とコミュニケーションを取るので、自分の世界観や人間観が”育まれた”という感覚はあるものの、”変わった”という感覚はなくて。
帰国した際も友人達から旅人感が全くないと言われましたし(笑)、自分自身も違和感は特になかったです。元々何かに合わせるタイプではないので、アフリカを旅している自分も、大企業で働いていた自分も同じ。旅先でも携帯でビジネスニュースを読んでいたり、旅を全力で味わうという気負いや貪欲さもなく、旅に対してそこまで特別な意識がなかったんですよね。
逆に、旅は仕事とは違って緊張感がないので、その物足りなさはありました。インタレスティングだけど、エキサイティングは足りない。仕事で、仲間と一緒に勝負をかけて痺れる感覚はやっぱり最高ですよね。帰国する頃にはその感覚に飢えている状態になっていました。
帰国後の就職活動
― 帰国後の就職活動はどう動きましたか?
設立5年未満かつ従業員100人以下のスタートアップを徹底的に調べました。まだ世の中にあまり露出されていない会社も含めて、Forbesに掲載されたところとか、資金調達をしているところとか、200社程リサーチして。業種も新たなチャレンジの方が楽しいだろうと敢えて絞らなかったし、ポジションもそこまでこだわっていなかったですね。大企業とスタートアップでは職種こそ同じでも、そもそもの仕事の枠組みが全く違ったりするので。最終的に受けたのは5、6社でしたが、業界もポジションも様々でした。
― 複数社の中でWealthParkに魅かれたポイントは何だったのでしょうか?
本気でグローバルで勝負して、新たな仕組みを作ろうとしていたからです。そういう会社にはあまり出会えなかったんですよ。いずれは世界を目指すと言っている会社が多い中、WealthParkは世界で戦う事を前提にしていて、その意気込みは面接でも非常に強く感じました。あとは、僕自身、WealthParkは「不動産tech」x「 FinTech」だと捉えているんですが、不動産をベースに金融の要素を加えて、かつクロスボーダーにスケールアップしていくインパクトの大きさに魅かれました。次のチャレンジにおいては、社会的インパクトのポテンシャルを重要視していたので。
一方で、今までのキャリアの中でこうしたビジネスに全く関わってきていなかったので、WealthParkが果たして世界で勝てるのか、実現可能性自体を自分では具体的に評価出来なかった部分もありました。でも、そのよく分からない感じも含めてワクワクして。実現したら面白いだろうなと。分かり切っている事よりも、分かり切れない面白さを求めてしまうところが、昔から自分の中に軸としてあって、結構それが決め手になりました。
―全貌が見えないながら成長するポテンシャルを嗅ぎ取るセンスですね。
いや、でも完璧に直感だけですよ。入社2、3ヵ月位は「もしかしたら自分騙されてるかもな~」と、まあまあ疑っていました(笑)。
WealthParkでの業務
― 入社して半年、現在はどういった業務に取り組んでいるのでしょうか?
大きく分けると、事業提携、マーケティング、新規事業の開発の3領域を担当しています。新規事業を生み出すには事業提携が必要な時も多いし、事業提携によってマーケティングや営業に繋がるので、すべてがリンクしている状態です。最初からこの業務範囲が確立されていた訳ではなく、事業提携を中心にしつつ「何でも屋」としてビジネスサイドの業務を広範囲にやってほしいと言われていて、入社時点では具体的に何をするのかはよく分かってなかったですね。
― でもそれがまた楽しみだったんじゃないですか(笑)?
そうですね(笑)。現在は全く新しい事業をたくさん作るというよりは、WealthParkの基幹事業に様々な事業を付加していくフェーズで、他社のサービスやプラットフォームとの提携を通じた顧客体験の向上に取り組んでいます。要素を加える事自体が全く新しいビジネスモデルの成立でもあり、1つの事業の開発でもあり、提携戦略でもあります。
例えば、現在とある海外企業と事業提携のディスカッションを始めていて、彼らのプロダクトと僕らのプロダクトを連携させる検討をしていますが、彼らとのパートナーシップによってWealthParkとしてはビジネスを広げる事が出来ますし、そのサービスでお客様は明確に便利な体験を得られます。
僕らはスタートアップでリソースも限られているので、何でもかんでも自分達でやるのではなく、いわゆるオープンイノベーションというか、同じベクトルを向いている仲間を見つけ、協働していく事が事業にとっては重要だと思っています。
― 提携先の選定も山地さんが?
複数のパターンがありますが、いずれにしても関係者とディスカッションをしながら選定します。自分達がやろうとしている事から自ずと挙がってくる提携先もあるし、顧客から要望を頂く機能やサービスを踏まえて、実現可能性のある提携先を探す事もあります。
国境を越えて「オルタナティブ資産」を管理出来るモバイルアプリはWealthParkの他になく、弊社はユニークなポジションニングを持っているので、広げられる事業の範囲や可能性は尽きなくて。やりたい事が順番待ちの状態なので、優先順位を立ててステップをどう組んでいくかも自分の仕事となります。
多様性を大切にしながら繋がりを作りたい
― 入社から半年が経ちましたが、WealthParkで今やりたいと思っている事を教えてください。
不動産業界はアナログの要素が大きく、閉ざされていて世間一般の方々からするとおそらくまだまだ未知な世界。そこに対してグローバルに変革を起こしていける今の環境が面白くて、とにかくピュアにどんどん挑戦したいと思っています。
また、組織やチームに対しては、多様性を大切にしながら繋がりを作る事に貢献していきたいですね。国籍も役割も多岐に渡るメンバーで構成されるWealthParkにとって、多様性は一つの大きな特徴。多様性を維持しながら繋がりを醸成するには、ソフト・ハードの両面で組織内のコミュニケーションをどうデザインするかが、議論の重要なポイントになります。今後人数も増える事も予想されるので、オフィス内外でコミュニケーションの機会をどう作るか、経営陣がやりたい事を皆んなにどう伝えていくか、そういった事をしっかり考えていきたいですね。
30代で活きる20代の経験
― 20代は大企業の中でキャリアシフトしていき、30代で初めてスタートアップに転職された訳ですが、20代の経験の積上げが現在のマネージャーとしての活躍のベースになっていると感じる部分はありますか?
特に年齢はあまり気にしていなかったのですが、20代の経験が30代の意思決定の場面に活きる事は結構ありますね。前職で営業、企画、戦略を渡り歩いて、マネジメントを経験して培ったものが、今ジェネラリストとして活かせているとも感じます。大企業からスタートアップに移るのは不安要素もあるかもしれませんが、本質的な仕事の仕方が変わる訳ではないですし、20代で得た事を活かして全く異なる環境に挑戦出来るのは、30代だからこその面白さかもしれません。
― 20代後半でMBAも取得されていますよね。これは30代を見越しての選択だったのでしょうか?
いや、代理店渉外時代にグロービズ経営大学院が開催していたクリティカルシンキングの単発クラスを受講したら面白くて。MBAコースの次期の入学に間に合ったのでノリで申し込んでしまったんです。とにかく「学べることが面白い」という理由で始めたので、毎週土曜日にヨガ行っているみたいな、趣味みたいな感覚で通っていました。なので、時には深夜に課題をしながら「なかなかハードな趣味やな~」とか思ったり(笑)。
当時学んだ一つ一つの「知識」を仕事に活かせているかは分かりませんが、ビジネスの捉え方はきっと活きているのではないかと思います。また、ファイナンスの考え方、時価総額やバリエーションの付け方は自分にとって確実に糧になっています。他は忘れちゃった事もいっぱいありますが(笑)。あとはビジネスについて色々なパターンを認識出来るのも事実ですね。異なる業界の戦略とか。
頂上の景色が分からない方が楽しい
― ビジネススクールが趣味ってすごいですね。他にもう少し普通の趣味はありますか(笑)?
趣味は旅と登山です。旅中でもヒマラヤや南米大陸最高峰のアコンカグアっていう山も登って、2週間位雪を溶かした水でしのいで生活したり(笑)。
― 旅と登山、これまでの一連のお話の流れから、なんだか山地さんが魅かれる共通項が見えてきそうです。
全体を通して言えるのは、単純にワクワクして生きていたいんです。ベースはすべてそこ。今までの経験では想像し切れない、よく分からないけれどワクワクするものに魅かれるんだと思います。仕事も旅も山も、見えないものにチャレンジする事が楽しい。おしゃれに言うと、頂上の景色が分からない方が楽しい、みたいな(笑)。
― なるほど、きれいにまとまりましたね(笑)。本日は長時間のインタビュー、ありがとうございました。
<インタビュアー>
飯田 明 | Mei Iida
渉外法律事務所にてファイナンス・パラリーガルを務めた後、大学院留学を挟んで飲食業の世界へ。外資系チョコレート会社のDirector of Communicationsとして、HR/ブランディングを担当。現在はフリーランスに転向し、複数の会社とのプロジェクトを通じて、カフェのプロデュース事業や人事、国内外のダイニングイベントの企画・運営に携わっている。