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2021.09.24

特別対談企画(後編)明光トレーディング松木氏に聞く、独立からの歩みと DX の先に見据える不動産業界の未来

「不動産管理会社のいまを知る」をテーマに、業界をリードするゲストをお迎えし、貴重なお話をお伺いする連載企画。第11回は、安心の賃貸管理で30年以上にわたりお客様の資産形成を支え、またYouTubeチャンネルを通じて不動産に関する情報発信を実施するなど、様々なチャレンジを実施されている、株式会社明光トレーディング 代表取締役 松木正一郎氏にお話を伺いました。
後編では、DX の先に見据えている到達点、いち早く構想していた不動産クラウドファンディング、トップダウンから自走型の組織に向けた改革についてお聞きしました。(後編/全2回)
前編はこちら

ゲストプロフィール

株式会社明光トレーディング代表取締役 松木 正一郎氏
1985年より不動産業界に従事し、賃貸管理・賃貸営業・売買仲介・投資用不動産(主にマンション)・居住用マンションのリノベーション事業に携わる。その後、前身である彩和通商を譲り受け、1994年に社名変更と共に株式会社明光トレーディング取締役に就任。1995年、代表取締役に就任。趣味は仕事、ゴルフ、ジム。

目次

社員には社員にしかできない付加価値を生み出す仕事をしてもらいたい


――資産運用や相続といった重要な事柄に関して、管理会社や銀行の方にこれまでの様に気軽に会ってご相談できないのは、オーナー様にとっても一種のフラストレーションですよね。

そうですね。だからこそ電話でもオンラインでもこまめにご連絡を差し上げる時間をつくりたいですし、つくるべきなんですよ。今まさに社員がそうした時間をつくる為に、多方面からのデジタル化の仕組みづくりを進めているところです。

――DXの定義や捉え方は様々ですよね。個人的にはテクノロジーですべてを解決できる日は到来しないと思いますが、労働集約的な繰り返しの作業はテクノロジーに置き換えていきたくて。御社がテーマにされている資産運用は、衣食住の次か、もしくはそれよりも大事だと言えますが、人生100年時代を踏まえてどう資産を形成していくかにDXの観点も資すると考えています。

社内のデジタル化に関しての私の基本的なスタンスは、社員は社員にしかできない仕事をしてもらいたいということ。社員でなくともできる仕事は、テクノロジーやアウトソーシングに代わってもらえば良い、とシンプルに考えています。オーナー様とのコミュニケーションは社員でなければできませんので、そうした付加価値を生み出せる仕事の為の時間をつくってもらいたい。私自身も資産運用は衣食住に匹敵する程に重要度が増してきたと感じていますし、そのお手伝いの為に社員の時間を使いたいんです。

まずは行動を起こすこと。そこで得られる意見やクレームが重要

――宅建業法改正により、来年5月からは契約業務のデジタル化が加速することが予想されます。対面ではなくなることで本人確認の重要度が増し、そこでのテクノロジーの活用も必然になってきますよね。
IT重説を含む契約業務のデジタル化は積極的に進めるべきだと思いますよ。不動産会社にとって効率が上がるだけではなく、お客様の時間が省けますから。お客様により良いサービスを提供することこそが我々の使命であり、その為には契約業務のデジタル化は欠かせないポイントです。そこに対する投資やサポートは惜しみませんし、むしろ惜しんではいけないですよね。
新しい取り組みに失敗はつきものですが、まずは行動を起こすことでお客様から得られるご意見やクレームが重要なんです。それを糧にして、お客様の満足に最終的に繋げていけば良い。これはデジタル化に特化したことではなく、管理にも同じことが言えます。弊社の管理部門のシステムでは、お客様からいただく「こういうことはできないのか」、「もっとこうならないのか」というお声から生まれたものもあります。最初から完成したものを提供できることが理想ですが、新しく何かを始める時って必ずしもそうはいかないですよね。だからこそ、お客様から「こうならないか」というお声をいただくことこそが大切なんですよ。それが我々の発想に繋がるし、改善や解決の糸口になるわけです。同様に、社内でも怒られることを怖れずに、ミスも上司に報告できる環境を醸成することが肝要ですよね。

選択肢の一つとして提供したかった不動産クラウドファンディング


――御社は資産運用の一つの出口として、早い段階から実質的に不動産の小口化を進められていらっしゃいますが、そうした先端的な取り組みについてもお話をお伺いさせてください。

弊社のオーナー様の中にもいらっしゃるのですが、マンションを所有・経営されて、賃料収入の流れを掴まれた後、もう少し買いたいなと思っても物理的に購入が難しい場合もあります。また、余剰の現金をお持ちでも、株式投資は不安に思われる方もいらっしゃいますよね。我々は不動産会社なので、他の金融商品の様に少額から始められる選択肢の一つとして、不動産クラウドファンディングを提供したかったんです。今はマンションを新規購入する金利は2%を切っていますし、一棟、一室は所有できなくても、10万円、20万円からスマホで投資・運用ができて、現物自体の管理はお任せできるので気軽に始められるかなと。投資リスクを最小限にして、不動産投資を知ってもらえる機会にしたいですね。
欲を言えばもっと早くに実現させたかったんですよ。構想はかなり前から持っていましたが、当時は免許の取得の部分でハードルが高くて。今は世の中の流れが急速にクラウドファンディングに向いてきて、国の地域再生事業にもクラウドファンディングが活用されるまでに価値観に変化が起きています。協力体制が整ってきたことが具現化に至った大きな要因の一つです。時間はかかりましたが、これから広げていきたいですね。

コロナ禍でホールディングス化を見据え、トップダウンから自走型へ

――同じ経営者として個人的にもぜひお伺いさせていただきたいのですが、目標の数値をチームに共有する際はどの様なリーダーシップを執られていらっしゃるのでしょうか。

実は、そこはまさに変革していかなければならない一つの課題です。コロナ前までは完全なトップダウンでしたが、ホールディングス化を目指すことで各部署を一社として独立させ、それぞれの数値目標を達成してもらう形を取ることになりました。
まずは各部署に人件費等といったコストに関する数字を再認識してもらうべく、私から損益分岐点の数字を出して、可視化させました。そこからは各部署のリーダーに数値目標をつくってもらい、どうしなければならないかを現場で考えてもらっています。全会社の代表を私が務めるわけにもいかないので、リーダー達には決断力や考え方を学んでもらうことを期待していますし、その為に必要な数字、まずは損益分岐点を把握してもらうことから始めています。

――なるほど、段階を踏んで後世の育成をされていらっしゃるところは学ばせていただきたいですね。お忙しくされていらっしゃると思いますが、プライベートはどんな風にお過ごしされているのか、最後にご趣味もお伺いできれば。

時間があればジムで汗を流しています。最近までは控えていましたが、飲食店の方々や取引先の方々にお誘いいただいて、ゴルフにも行きますね。ゴルフは自然の中に身を置けるので気持ちが良いんですよ。コミュニケーションの一環で息子とも行きますよ。息子とそうした接点を持てる様になったことは、嬉しいですね。

――私の中での松木社長は、よく食べて、よく飲んで、よく遊んでいる方というイメージです(笑)。

それで合っています(笑)。昔は仕事が趣味と言われていたんですけどね。

――そうだったのですね。本日のインタビューでは松木社長のお人柄にも触れることができ、光栄に思います。ありがとうございました。

前編はこちら

インタビュアー:WealthPark Founder & CEO 川田 隆太

株式会社明光トレーディング

代表取締役:松木 正一郎
本社所在地:東京都渋谷区恵比寿4-17-3 カゲオカビルディング3F

会社ホームページ:https://www.meiko-trading.co.jp/

<本件に関するお問い合わせ先>

株式会社明光トレーディング
電話番号:03-3440-7201

WealthPark株式会社 広報担当
Mail:pr@wealth-park.com

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