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2024.09.06

中央日本土地建物 平本様・中瀬様に聞く、データレイクの必要性と目指すデータドリブン経営

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WealthParkでは不動産オーナーと不動産管理会社をアプリでつなぐ業務支援SaaS『WealthParkビジネス』の提供、ソフトウェアだけで解決に至らない課題解決や新規事業開発を担うDXコンサルティングサービスを提供しています。

今回は、DXコンサルティングサービスをご利用いただいている中央日本土地建物の平本様・中瀬様に、DX推進の経緯やご苦労、WealthParkをパートナーに選んだ理由等をお伺いいたしました。

ゲストプロフィール

 

中央日本土地建物株式会社 執行役員事業統括部 平本亮敦 様
1994年日本土地建物(現 中央日本土地建物株式会社)入社。住宅事業の企画・販売、法人仲介・都市開発事業・人事等に従事した後、2021年4月より事業統括部長に就任。事業戦略・投資戦略の企画・立案を担うとともにグループ内のデータドリブン経営を牽引。エネルギー統括室、イノベーション開発室、DX推進室についても管掌。

 

中央日本土地建物株式会社 総括次長 中瀬真智子 様
日本土地建物に一般職として入社後、総合職へ転換し、法人仲介・CRE営業等に従事。2018年から外部不動産デベロッパーへ出向。2020年より現職。グループのの運営、国内外のベンチャーキャピタル・スタートアップ企業への出資等を担当。

インタビュアープロフィール

 

WealthPark株式会社 代表取締役 COO 手塚 健介
富士フイルム株式会社・楽天株式会社を経て、2015年にWealthPark株式会社に入社。国内不動産大手との事業提携を進め、インバウンド不動産事業の成長を牽引。その後、人事部の立上げ・管掌、SaaS事業およびDXコンサルティング事業の立上げ・事業運営、など幅広い業務に携わる。2020年7月に取締役CBO(Chief Business Officer)、2023年11月より代表取締役副社長COOに就任。東京大学法学部卒業、ロンドンビジネススクールMBA。

 

WealthPark株式会社 法人事業本部 DXコンサルティング部 SVP of DX Consulting 村上 朝一
アクセンチュア、グラクソ・スミスクライン、ソフトバンクロボティクスにて、事業戦略、ビジネス・インテリジェンス(BI)、業務企画、システム企画/運用などに従事。WealthParkでは事業変革支援サービスの責任者を務める。

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中央日本土地建物様のDX推進

手塚まずはじめに、平本様・中瀬様のこれまでのご経歴や現在担当されている業務について、ご紹介いただけますでしょうか。

平本様私は1994年に当社グループに入社しまして、最初は住宅事業にて戸建の分譲販売などを行っておりました。その後は、法人仲介・不動産の有効活用・都市開発・人事を経験し、住宅事業部門へ戻った後、3年前から事業統括部長として現在の職務に従事しております。

事業統括部の主なミッションは、中央日本土地建物のデベロッパー機能における事業計画・ポートフォリオ戦略の策定・推進・管理等を行うとともに、グループ各社各部との連携支援・推進などです。また、イノベーション(オープンイノベーションオフィス「SENQ」の運営等)、DX推進やエネルギー分野の業務なども担当しており、業務範囲は多岐にわたります。

中瀬様私は一般職として入社し、事務職をしながら宅建免許を取得したのですが、そのタイミングで弊社に職系転換制度が導入され、社内第一号として総合職に転換しました。転換後は住宅事業にて戸建て住宅の企画から販売までの業務を一気通貫で担当し、その後は法人仲介・CRE(企業不動産戦略)営業・外部不動産デベロッパーへの出向を経験。2020年に帰任した後、事業統括イノベーション開発室を経て現在はDX推進室に所属し、グループのDX推進を担当しております。

手塚ありがとうございます。私が初めて中瀬様にお会いしたのは2019年で、外部の不動産デベロッパーへ出向されている時でした。その頃のミッションや当社との出会いについてお伺いできますでしょうか。

中瀬様2018年から外部出向していたのですが、当時からその出向先では「箱貸しの時代は終わる、これからはただ建物を建てるだけでなく、空間・テナントに対する付加価値提供が重要となる」ということを見据えた取組みを行っていました。私は事業創造部という部署に配属となり、グループ会社のベンチャーキャピタルのポートフォリオ企業の方々と連携し、オフィス空間の新しい在り方や新規事業の立案などに携わっておりました。その連携先の一社がWealthParkでした。確か、御社のフィンテック事業関連で、保有物件の建て替え時に地域の方々から資金を募ることにより、その物件に愛着を持っていただき、ともに街づくりを行っていくという事業スキームをご提案いただいたのが最初の接点だったかと記憶しています。

手塚その後、中央日本土地建物様に戻られてからもお付き合いをさせていただいておりますが、当時のWealthParkの印象もお伺いできますでしょうか。

中瀬様出向から帰任する際、出向で得られた知見・経験を活かしたいと考え、DXを推進する部署を自ら希望しました。一度、外部から自社を俯瞰的にみる機会を得たため、当社のDX推進には課題が多くあると感じたのと同時に無限の可能性も秘めているなと実感しました。御社も同様に弊社のポテンシャルを感じ取ってくれていましたよね。御社は良いことのみならず指摘しにくい当社の課題や改善点についても的確に指摘してくれるため、御社には信頼を寄せていました。

平本様当時、弊社では、自社のことは社員自身が一番理解しているからこそ「自らが考え、実行するべき」という考え方が強かったため、外部コンサルを依頼する機会は少ない状況でした。中瀬から御社へDX推進のコンサルを依頼したいと相談を受けた際は、こうした社内の雰囲気もあったことに加え、実は「実態は何も変わらず、ただ綺麗な成果物が出てくるだけで終わるのではないか?」と若干懐疑的だったこともあり、少し消極的に考えていました。しかし、御社と打合わせを重ね、慎重に議論を進める中で、私たちのテック・データ活用に関する知見も広がり、現状とは異なる新たな不動産ビジネスの在り方を描くことができる様になり、「これは他のコンサルとは違うぞ」と感じ、御社とお付き合いしていくことを決めました。今となってはあの時の判断は正解だったと確信しています。

プロジェクトのスタートの仕方も御社は他のコンサルやパートナー企業と異なりました。一般的には、課題や実現したいこと、クライアントの考えなどを共有し合ってからプロジェクトが開始されますが、当時、将来像を描くことができていなかった私たちは、まずは御社と様々な視点で意見交換させて頂くことから始め、将来のありたい姿などを少しずつ具体化させていきました。同時に、有識者の方々を紹介頂くなど、当社の事業成長や課題解決につながる様々な支援を頂きました。

不動産におけるデータレイクの必要性

村上現在、御社のデータドリブン経営の実現に向けたデータレイク構築を支援させていただいています。本プロジェクトを立ち上げられた経緯をお聞かせいただけますでしょうか。

平本様2021年に事業統括部を設立し、本格的にDXに取り組んでいく方針となりました。「既存のルールや枠組みから脱却し、イノベーティブな組織への変革を図る」を基本方針として掲げ、その実現に向けて「①データレイクの構築」「②DX専門部署を創設する」「③DX人材を育成する」「④外部パートナーとの協働」これら4つの施策を実行することを決めました。データレイクはDX推進の基盤となるものです。物件・サービスに付加価値をつけ競争力を高めていくには、データの活用による業務の高度化が必要不可欠であると考え、その実現のためデータレイク構築への取り組みを開始しました。

中瀬様会社の体制変更もあり、データドリブン経営に向けた新たな挑戦をする良いタイミングだと思いました。当社は統合を繰り返しながら成長してきた経緯があるため、元の会社によって違うシステムを使っていたり、運用方法が異なっている点が大きな課題として挙げられていました。そのため、必要な情報にタイムリーにアクセスできず的確な業務遂行に至らないケースも散見されたことから、これらの課題解決に向けて、グループ横断でのデータレイク構築に取りかかりました。

平本様社会動向や環境の変化も大きいです。以前のように土地を安価に仕入れてビルを建築し売却するだけでは持続的な成長が難しくなっており、事業領域拡大や新規事業創出の観点でもデータ活用は重要なテーマと位置付けています。

事業部への浸透におけるご苦労や難易度

村上データを活用した事業展開に向け、組織や考え方を含めた非常に大きな転換だと思いますが、全社的に進めていくにはご苦労も多かったのではないでしょうか。

平本様特に最初は苦労しました。いきなり高く大きなゴールを設定しても事業部門からの理解は得られにくいと判断し、まずは小規模で、クイックに成果が出ることから着手することにしました。

中瀬様:実は、WealthParkさんに依頼する前に別の会社さんへ一度データレイク構築に関する相談をしましたが、なかなか上手くいかなかったのです。当時も各部署間のデータが全く連携・共有されておらず、データのマッピングもないに等しい状態でした。また、データ活用を通じて実現したいことなどを社内でヒアリングしてもほとんど意見が出ません。逆に、「データ入力が面倒、二重オペレーションになる」「現状のままで良いのではないか」といった意見が多く聞かれ、DXの入り口であるデジタル化を推進するにも一苦労でしたので、残念ながら当時のプロジェクトは打ち切りとなり、その後御社に相談させていただきました。

村上社内の理解を得るというスタート地点からどのような働きかけをされたのでしょうか?

中瀬様:ひとつはトップメッセ―ジを含めた全グループ役職員への情報発信です。あとは、村上さんにも協力いただいた事業部門の担当者との事前ワーキングを6ヶ月ほど実施しました。最初は半信半疑だった担当者も実際に可視化されたデータを見て理解が進むにつれ、データ活用に対する期待感が高まっていったと思います。ちなみに、このワーキングで使用したのはエネルギー使用量に関するデータだったのですが、まずはダッシュボードで使用状況を可視化し、その後に打ち手となる施策の検討を行うということを初めて経験しました。

平本様「エクセルが綺麗に見えるようになるだけ」くらいの感覚を持ったメンバーが多かったのですが、タイムリーに数字が更新され、分析することができることを伝えるとともに、「これを使って何かできないか?」と問いかけたところ、ビルの付加価値向上や管理効率化につながる様々なアイデアが生まれました。この事前ワーキングで得られたインサイトを役職員にも共有し、データの活用方法を具体的にイメージすることができるようになったことが、社内の理解・共感を得て、DX推進の風土を醸成することにつながったと思います。

中瀬様今では能動的にDX推進に取り組む部署や社員も増え、「データレイクを活用して将来的にこういうことがしたい、このプロダクトを使いたい」など、様々な声が聞かれるようになりました。成功事例が出てくると、他の部署にも波及しやすくなります。やっと当社もDX化が進んできたという感覚があります。

WealthParkはコンサルではなくパートナー

村上弊社にプロジェクトの実行支援をご依頼いただいた際に期待していたこと、プロジェクトを進行している上での感想などをお聞かせいただけますでしょうか。

平本様弊社では、データドリブン経営の重要性が一層高まるのと同時にデータレイクへの期待感も高まっています。データレイクプロジェクトを成功させ、データドリブン経営をしっかりと確立するためにWealthParkさんにコンサルを依頼させていただいておりますが、WealthParkさんはコンサルタントやアドバイザーというより「事業パートナー」だと認識しています。

御社とは当初から、当社の現状、課題においてかなり深い議論を重ね、経営陣を含めて相互理解を深めつつ、一足飛びではなく、ひとつひとつ慎重かつ着実に協業を進めさせていただいています。その点が、弊社の風土・カルチャーに合っていると感じています。

御社を選んだ理由のひとつとして、「ともに最終的なゴールを見据えられていること」も大きいです。一般的なコンサルはプロジェクト単位での発注が多く、プロジェクト終了とともにチームが解散されることが一般的ですが、御社とは中長期的なパートナーとしてプロジェクトに伴走いただいていることが、他のコンサルティング会社との大きく異なると感じています。

中瀬様あと御社は人材の幅が広く、DX領域に限らずインバウンド・Fintech・海外トレンドの把握などあらゆる面で連携が可能なこともあり、「困ったときはWealthParkさんにまずは相談」という認識で頼りにさせて頂いています。

平本様御社は、自らが事業を行なっている事業会社でもあるため、些細なことまでコツコツと取り組んでおり、地に足がついている印象があります。当社においても細かい部分までケアしていただいており、非常に助かっています。

手塚大変嬉しいお言葉です。村上やプロジェクトメンバーの印象はいかがでしょうか?

平本様村上さんはデータ・システムに加え、不動産の知識も豊富です。また、長くプロジェクトをご一緒させていただいていますので、当社の強み・伸びしろを理解いただいていると実感しており、安心してともにプロジェクトを推進させていただいています。また、プロジェクトをスケジュール通りに進めるということは、「言うは易く、行うは難し」です。現在、取り組んでいるデータレイクプロジェクトでも要件定義完了後に事業部門から追加要望が出てくるなど舵取りが難しい局面もありましたが、スケジュール通り進めていただいており、感謝しています。

中瀬様:村上さんをはじめ、一緒に取り組んでくださっているプロジェクトメンバーのみなさんのスキルや知識も豊富で、当社メンバーとも円滑なコミュニケーションを取りながら推進してくれているので、仕事がしやすいだけではなく、成長につながっていると感じています。

不動産業界でよりオープンなデータ連携を

手塚ありがとうございます。最後に今後についてお聞かせください。不動産業界の課題や御社として今後どのような取り組みに力を入れていかれるか、その中でWealthParkに期待することを教えてください。

中瀬様海外ではデータのオープン化が進んでいますが、まだまだ日本の不動産業界は情報の非対称性に価値がある構造です。しかしながら、いずれ日本の不動産業界も海外と同じような潮流になると個人的には考えています。従来の「建てて終わり、箱貸しビジネス」だけでは差別化するのが難しい時代となってきているため、テナント・入居者の方々へ、データを活用しながら最適なサービスを提供し続けることがますます重要だと考えています。

当社の強みは、同業他社も含むどのような企業ともパートナーとして新しいことに柔軟に取り組み「共創」する姿勢だと考えています。こうした取り組みを通じて、不動産業界の発展に少しでも貢献できたらと思っています。

平本様:そのなかで御社とは、不動産業界に良い変化・変革をもたらすユニークで新しい取り組みに一緒にチャレンジしていけたらと考えています。御社のビジネスモデルは国内には類を見ない、ユニークなビジネスモデルだと思いますので、これまでのご経験やノウハウを生かした新しい視点でのアイデアを考えたり、ともに取り組んで行く中で、パートナーとしてお互いに成長していけたらと思っています。

村上御社との取り組みを振り返り、難しい局面を含め一歩ずつ一緒に進めさせていただいていると実感しました。ゴールに向けて旅は続きますが引き続きご一緒させてください。本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

 

不動産デベロッパー向けDX事業とは
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