Articles

2021.03.18

【Event Report】100% Digitization – Cleaning Data

Sorry, this entry is only available in 日本語. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

この記事は、2021年2月に開催されたオンラインイベント「デジタル化100%」の極意データの“お片付け”編のイベントレポートです。
不動産テックを運営する3社の担当者によるプレゼンテーションが行われました。

大変ご好評頂きましたので、この記事ではWealthPark SaaS事業部CSマネージャー窪田によるノーカット文字起こし形式でお届けします。

 

TOC

自己紹介

はじめに自己紹介させて頂きます。
WealthParkの窪田将志と申します。

私は、新卒でSIerとして入社、その後総合系のコンサルティングファームで勤務し、2018年9月からWealthParkで勤務しております。

 

 

前職では会計コンサルタントとして業務標準化や会計システムの新規導入プロジェクトで経験を積みました。
WealthParkでは主にシステム導入、データ連携周りを担当させて頂いております。

 

会社紹介

 

 

 

簡単にWealthParkのご紹介をさせて頂きます。
当社は東京と渋谷区恵比寿に拠点を構える不動産テックのベンチャー企業です。
100名弱で運用体制で事業運営を行っており、不動産カオスマップにおける位置付けですが、WealthParkはオーナーアプリを提供しているプロバイダとなります。
また、人材は多国籍メンバーで構成されており、10カ国程のメンバーが日々、WealthPark Businessの開発を行っている状況です。

 

 

ここからは本日お話させて頂く内容です。
3パートで構成させて頂きました。
前半はデジタルマインドセットについてのお話で、前半では「これからデジタル化を進めていく上での基本的な考え方」をご提案させて頂き、中盤で「データお片付けの重要性」について、後半では「データの課題に対するアクションプラン」として、実際のデータを参考にしたお話をさせて頂きます。

 

 

デジタルマインドセット

 

 

はじめにお話する内容はデジタルマインドセットについてです。
私が10年前就職した際、部長からこのような言葉を言われました。

 

 

「窪田君、これからの時代はビッグデータだ。ビッグデータを分析してユビキタスネットワークでビジネスを加速させるんだ」

その頃の私は新卒であり、何もわかりませんでしたので、素直にその言葉を受け入れていました。

 

10年が経過し、私はWealthParkで働いていますが、このような1コマがありました。
「窪田くん、これからはDXだ。デジタルトランスフォーメーションによる事業スケールを行うんだよ」

新卒の頃とは異なり、今となっては聞き飽きてしまったこのようなワードですが、こうしたITバズワードを整理してみました。

 

上の図は、ITバズワードの変遷を表した表です。

 

2000年代は、ユビキタスのようなワードが流行しました。
ユビキタスとはIOTの前身となる概念であり、ヒトやモノがITによって繋がるという考え方の基盤となる言葉です。その他には、クラウドコンピュータやWeb2.0、仮想化などの言葉がバズワードとして流行したのが2000年代です。
2010年はビックデータやソーシャルネットワーキング、人口知能、Fintechやブロックチェーンが流行った言葉でした。
そして現在は、DXがバズワードであるとともに、コロナの影響によるテレワークやzoom飲みなどの言葉がバズワードです。

 

このようなバズワードの変遷をみていくと、IT業界の技術トレンドや変遷の影響を受け変化していることがわかります。
また、ITトレンドと接する場合には、マインドセットが非常に重要です。

そこで、気をつけるべき2つのマインドセットを紹介していきたいと思います。

1つ目は「考えなく仮説を設定せずに飛びつくこと」です。
現在、デジタルトランスフォーメーションが声高々に叫ばれていますが、経営戦略などに対してどのようにデジタルシステムをどのように適応させるべきかをよく考えなければいけません。

一方、「失敗を恐れDX施策を構築できないこと」もまた問題だと思います。
ITのトレンドは日々変化します。新しいテクノロジーが日々アップデートされるなか、新しい技術を取り入れずに、環境に適応できずビジネスが縮小してしまうこともまた問題です。

 

ここで一旦経産省によるDXの定義についてご説明します。

 

 

最も重要なことは、赤字で記載した箇所であり「激しい変化に対応し」ビジネスプロセスを適応させていくことが重要であり、環境変化に対して常にアンテナを張っておかなければなりません。

また、経産省は「2025年の崖」という定義をしています。
この問題は、多くの経営者の方々がDXの重要性については充分に理解している一方、適応が難しいという現実が課題となっているという問題です。

 

代表的な例をご紹介します。


1つ目は、既存システムが既存最適でシステム構築されてしまっており、事業部門などをこえた横断的なデータ活用ができないという点です。


2つ目は、過剰なカスタマイズがなされている点であり、特に日本で非常に多く見られる課題であると言えるのであるといえます。
この課題として、私は業務にシステムを寄せて作るという日本の文化的背景が課題として存在すると考えています。
日本は、ニッチで特殊な業務をシステムでカバーする傾向が強く、システムを細かく複雑にブラックボックス化してしまう傾向があるのです。


3つ目は、経営者サイドがDXを望んでいたとしても、現場側の抵抗が実行課題となっているケースです。

 

経産省はこのような課題が2025年までに続いた場合、年間で12兆円の経済損失が発生する可能性があると示唆しており、日本は徐々に国際競争力を失っていくだろうという内容のレポートを出しています。

 

これからの時代はいかに新しいテクノロジーを素早く取り入れていくかが重要な課題です。
また、レポートでは「デジタル勝者」と「デジタル敗者」という表現もなされており、既存のブラックボックス状態を打破し、データをフル活用した企業は「デジタル勝者」になるとされています。

 

一方、今まで通りゼロからシステムを構築する考え方のままだとビジネスの柔軟性が失われるのはもちろん、システムを保守する担い手の高齢化し、人材も不足するなどの事態に発展していくのではないでしょうか。

 

以下は、このような場合、認識しておく必要のある主なマインドセットです。

 

1つ目は、「新しいツールの実力を見極め適切に取り入れること」です。
我々が提供しているオーナーアプリでも競合が年々多くなっていますが、色々な競合を見極め、自社に会うサービスがどれであるかを分析することで適切に取り入れること必要といえるのではないでしょうか?


2つ目は、「常にアンテナを張ること」の重要性です。
常にアンテナを張り、最新の技術動向を追うことが大事です。

 

3つ目の「ゼロから作ろうとしない」というポイントですが、この中では一番重要なポイントであると思います。

 

 

ゼロからシステムを構築しようとする考え方は、テクノロジーが発展した現在において非常に時代錯誤の考え方です。

 

例えば、ゼロから何年もかけてシステムを作ることは時間もかかりますし、費用もかかる方法です。この部分については、マインドセットを切り替え、システムは作るのではなく、利用するという考えにシフトする必要があると考えています。

 

特に、昨今の巨大テックカンパニー各社は誰でもテクノロジーが利用できるような取り組みを積極的に行っており、システムを「作る」から「使う」へのシフトが大きなポイントになっています。
ここまでが前半のマインドセットに関するお話です。

データお片付けの重要性

 

ここからは中盤戦ですが「データのお片付け」についての話を進めて行きたいと思います。
写真の女性を知っている方はいらっしゃいますか?

 

参加者:近藤麻理恵さんですね。

 

正解です!この方をご存知の方もいらっしゃると思います。「人生がときめく片づけの魔法」シリーズの著者として日本だけでなく海外でも有名な方です。
実は私、「こんまり流片づけコンサルタント養成講座」の生徒として過去に講座を受講したことがございまして、今回はその辺りの話題も交えながらお話していきたいと思います。

 

こんまりメソッドの特徴は片付けのルールや順番が明確に決まっている点です。
ポイントとしては、片付けるものを1箇所に集め、手で触ることで必要性の有無を判断し、片付ける順番は衣類→本→書類→小物→思い出の品という順番で片付けていきます。
思い出の品の順番が最後である理由は、思い出の品はなかなか捨てづらく、そのようなものを最後に判断することをポイントに据えているからです。

 

 

私はこれまで数多くの会社さんのもとを訪れていますが、モノがあふれ雑多な状態のケースときちんとモノが整理されて整然としている2つのパターンがあります。

実は、企業のオフィスの綺麗さとデータの綺麗さには相関関係があり、オフィスが綺麗な企業のデータは綺麗であることが多いのです。
逆にオフィスが汚い会社は、データも汚いケースが多いため、オフィスを意識的に綺麗にすると良いかと思います。

 

 

 

次にお話したいのはBroken Window Theory(割れ窓理論)についてです。

これは環境学術分野の一つで、コミュニティ内での小さな乱れや不品行など軽微な無秩序状態を放置した結果、それが重大な犯罪につながるという事例を示した理論です。このことはデータの世界でも応用できるのではいかと考えています。

この理論のポイントは「軽微な無秩序状態の放置」です。
割れ窓理論をデータ実務に応用すると「日々の業務での忙殺」が「職場環境の乱れ」に繋がり、データの「ルール運用があいまい」になってしまいます。

また、ルール運用に緩みが生じると「個人が好き勝手な運用(属人化)」に繋がり、Aさんにしかできない仕事、Bさんしかできない仕事が生まれることで、業務が不均質になり「データ管理に障害が発生する」という構図に繋がりかねません。

 

では、このような状態を防ぐためにはどのようにすれば良いのでしょうか?

データを整備すること自体は非常に重要ではありますが、その前に手を付けなければいけないことがあります。

1つ目は、働くべき環境の整理整頓です。
汚い机から綺麗な机に整備することで、働く環境を整えましょう。

 

 

また、PCのデスクトップを整理することも重要です。
デスクトップが散らかった状態であれば、その分脳の容量を消費してしまうため、綺麗なデスクトップに整理することで、仕事に良い効果が生まれると思います。

 

チームで使うツールに関しても、ルールに従い運用していくことで乱雑な状態を防ぎましょう。
例えば、フォルダストレージは深くしすぎず、MAXでも3階層まで、理想的には2階層ぐらいが良いでしょう。また、フォルダの細分化を避けたり、ファイルの命名もルールを持って運用することが重要です。
ルールを設けて、それを適用することで環境が形成されていくので、組織内でもルールを作りしっかりと運用していくことが重要であると言えるでしょう。

 

ここまでが、環境整備の面で重要な事項です。
これらの環境を整備したうえで、実際にデータを整備するプロセスへ移行しましょう。

 

データの課題に対するアクションプラン

 

後編では実際のデータを使いながらお話しをさせて頂きたいと思います。

このデータ、ぱっと見どちらのデータが綺麗だと思いますか?

 

 

上のデータの方が綺麗ですよね。虫食いがなく、下のデータよりも明らかに綺麗です。


データは、見た目が重要です。
パッと見た時、異なる属性のデータを規則なく入れてしまうと、違和感が出てきますので、皆さんも、自社のデータが今どのような状態であるかを実験で見て頂ければと思います。
ここからは、データ整理のダメパターンをいくつか紹介していきます。

1つ目は、家主の管理番号が2重に登録されているデータです。
この状態は「主キーが重複している」と表現されますが、システム運用においてID項目は非常に重要であるため、IDの乱れは致命傷といっても過言ではありません。

 

また、2つ目は、異なる属性が登録されてしまっているケースです。
図のように、TELの列にメールアドレスが登録されており、異なるデータ属性が登録されてしまっているケースが多くあります。
品質が均質であるパッケージシステムの場合、多くのシステムが電話番号の属性にはメールアドレスの羅列は予め入力できないような仕様で設計されています。
他方、カスタマイズ要素の多いスクラッチシステムの場合は、パッケージシステムのような制御が入っていない場合があるため注意が必要です。

 

 

3つ目は、似たような属性の記入項目が複数あり、入力するデータ列が決まっていないパターンです。このような場合、組織内でデータを記入する項目を明確化することで乱れを防ぐ必要があります。

4つ目はデータをまとめて登録しているケースです。

データセットの基本は、メールはメール、電話は電話の項目に登録することですので、
異なる属性のデータはまとめずに必ず分割しましょう。

 

最後は、入力規則が曖昧なケースをご紹介します。
例えば「誕生日」という項目であっても個人によって入力の規則を曖昧にしてはいけません。組織で規則を統一し、浸透させる必要があります。

細かいケースをいくつか紹介させて頂きましたが、今回お話ししたような内容に気を配ることで、質の高いAPI連携に繋がります。

Web API連携とは、他のアプリケーションにシステム連携を行うための手順のことです。
なお、近年ではJSONと呼ばれるデータ形式での連携が非常に多くなっています。

 

上の図は、JSONの基本型ですが、属性:値の繰り返しがフォーマットの基本となっています。そのため、先ほどご紹介した例のように入力を誤った場合、誤ったデータが登録される可能性があります。
そのため、はじめから基幹システムのデータを綺麗にしておかなければなりません。

 

 

データ入力の乱れによりデータベースは泥だらけになってしまいます。また、泥だらけのデータベースは連携先のデータにも悪影響を及ぼしかねません。
もし、事態が深刻化し、改善が必要な場合は、DXコンサルなどを導入することで、泥水から綺麗な水に変えることでその後の分析に繋げていくことが賢明であると考えています。

 

システムの最重要課題は、シンプルに綺麗なデータ登録ができているかどうかです。そのため、日々のデータ登録の積み重ねこそが差がつく領域であると考えています。

日々の業務プロセスやデータ登録のルールを各社見直していく必要があるのではないでしょうか。

 

今日では、社内でDXのプロジェクトチームを立ち上げる会社さんも非常に多くなっていると思います。
その際は、是非、社内のエース人材を登用し、プロジェクトを稼働させましょう。

今後は、テクノロジーの活用面に乗り遅れた場合、ビジネスにおいても競争優位を失ってしまう可能性が一層高まります。

社内のエース人材によってチームを組み、必要に応じて外部のコンサルなどを運用していく必要があるのではないでしょうか?

最後にアクションプランについて説明します。
まずは、自社の実態を認識し、自社データがどうなっているのかを振り返り、実態の認識をしましょう。
振り返りの結果、もし問題があるとわかった場合は、課題を先送りにせず、何らかの措置を講じることが重要です。
また、プロジェクトには、個人ではなくチームで取り組むことはもちろん、メンバーがジブンゴトとして改善にトライすることが非常に重要な要素だと思います。
問題を認識し、課題を先送りせず、ジブンゴトとしてチームで取り組む。
これが、DX化成功の秘訣です。

 

 

なお、WealthParkもDXサポートを運営しています。
もし自社にITに強いメンバーがいないという場合は、ご相談頂ければ何らかのサポートを頂ければと思いますのでよろしくお願いいたします

 

本日はありがとうございました。

RELATED ARTICLES