2021.07.16
先進企業アミックスの失敗から学ぶ 「DXの研究室」トークセッションの様子を大公開!(アンコール開催)
2021年4月、株式会社アミックスの深澤様をお招きし、先進企業であるアミックスの失敗から学ぶ「DXの研究室」と題したトークセッションを開催しました。
この企画は大変ご好評頂き、2021年5月にアンコール開催が行われています。
また、アンコール開催も大変ご好評頂いたため、この記事ではトークセッションの様子を記事に書き起こしてお届け致します。
是非、最後までご覧下さい!
TOC
totonoについて導入することによる最大のメリットは何ですか?導入することによる最大のメリットは何ですか?
小田:株式会社スマサポの小田と申します。
アミックスさんからは、弊社スマサポの入居者管理アプリ「totono」を導入して頂きました。
totonoは、入居者様と管理会社様を繋ぐことを目的としたアプリですが、深澤さんにtotono導入しようと思った動機と導入することによる最大のメリットを教えて頂きたいです。
深澤:ありがとうございます。まず入居者管理アプリを導入したいと思ったきっかけとして、
今、SNSによるコミュニケーションが当たり前になっている中で、入居者様が管理会社や大家さんに連絡をとる手段が電話しかないと、
やりとりする時間および時間帯に縛られたり、人によっては直接言葉で伝えることが煩わしかったりするのではないか。
特に若い方にとっては電話をかけること自体が望まれていないのではないかと思ったことがきっかけでした。
なのでアプリを導入することで、チャットや写真、動画など伝えたいことがより具体的で、かつより迅速になり、
結果としてサービスが向上することが最大のメリットであると考えています。
とはいえ、現状では一般的な入居者とのコミュニケーション手段は、やはり電話です。
営業時間内であれば自社のコールセンターで顧客対応が行われると思いますが、休日や夜間などの営業時間外は、
電話窓口を外部のコールセンターに委託する管理会社がほとんどだと思います。
電話は、通信手段として非常に便利である一方、災害が発生した場合などは、電話回線がパンクしてほぼ連絡が取れなくなります。
したがって有事の際は、電話をコミュニケーションの手段として使うことは不可能です。
先ほどアプリを導入するメリットとして通信手段の選択肢が広がると申しましたが、
有事において、電話以外のアプリが予め用意されている環境が整備されていることは、入居者様の安心感にも繋がるのではないでしょうか。
小田:ご回答、ありがとうございます。
実はtotonoは、3年ほど前、大阪で既に利用されていました。
ちょうどその頃、大阪ではタンカーの衝突事故によって関西空港が機能不全になってしまうという事故や、地震、台風などが立て続けに重なり、
totonoの利用者様の間でも、家屋の損壊やガス漏れなどの被害が相次いでいました。
そのような有事の際、totonoを導入していたお客様は、家屋が損壊した様子や被害の状況が分かる画像や動画がtotonoを通じて送られてきたため、
ライフラインがダメージを受けている場合であっても、迅速に入居者様の情報を把握できたそうです。
スマサポでは、震度5強以上の地震が発生した場合、totonoをご導入頂いている対象地域の入居者様の安否確認を無償で行うというオペレーションを構築しています。
日本は災害が多い国ですので、電話が機能しなくなった場合でも、入居者様と連絡が取れるような仕組みを構築することが重要であると考えられるのではないでしょうか。
石村:そうですね。私は深澤さんに質問があります。
totono以外にも入居者アプリはたくさんあると思いますが、
totonoを採用した決め手はどのような点でしたか?
深澤:その観点でお答えすると、totonoは弊社が導入を検討した段階で、既に複数の会社に採用され、実働していたという点がサービス導入の決め手ですね。
細かい機能を比較することも重要であるとは思いますが、私としては「実際にどこかの会社さんで使われ続けている」というポイントが最も響きました。
石村:ご回答、ありがとうございます。また、深澤さんのご意見に関連した事例を1つご紹介させて頂きたいと思います。
弊社では顧客管理ツールとして、セールスフォースを採用しています。
セールスフォースは、多彩な機能面を強みとしているように一般的に考えられていますが、
実は「機能が優れている」という点を売りにしているのではなく「お客様に寄り添い、伴走して成功体験に導きますよ」という点を売りにしています。
つまり、システムを普及させるためのポイントは、「機能」ではなく「人」の部分であるということですね。
パークダイレクトについて、現場の方の「導入前の反応」と「現在の反応」とで変わったところはありますか?
伊藤:株式会社ニーリーの伊藤と申します。
アミックスさんには、弊社が提供する駐車場契約アプリ「パークダイレクト」をご導入頂き、現時点で半年以上経過したと思います。
このようなサービスを導入する際、現場からは「導入が進まない」「現場から反発の声があがる」などのトラブルがある程度発生すると思いますが、
導入前と現在を比較して、パークダイレクトに対する現場の方の反応がどのように変化したのかを教えて頂きたいです。
深澤:そうですね。パークダイレクトを導入しようとした際も、実際に現場からの反発の声はありましたね。ただし電子契約を導入するときのような業務担当者の業務フローに関する反発というより、オーナー担当者がオーナー様への説明をする上で、システム導入のメリットが理解できないことの反発が多少ありました。こういったDXツールを導入したり推進する際の心がけとして、便利になる未来を具体的にイメージできるように担当者なりと共有する事が重要です。結果として今まで決まらなかった駐車場がどんどん決まるようになり、かつ契約担当者からすれば従来の契約に係る煩雑な業務から解放されるなど、イメージしていた結果を実際に経験していることにより、現在ではパークダイレクトに対するネガティブな意見どうこうより、パークダイレクト抜きで業務が成立しないという理解と認識に変わってるように思います。
伊藤:ありがとうございます。パークダイレクトに限らず、アミックスさんは、DXツールを導入する意思決定と現場への浸透速度が非常に速いという印象を受けますね。
石村:そうですね。ちなみに伊藤さん。パークダイレクトを導入する場合、管理会社様に導入費用や運用コストなどのコスト面でのリスクは生じるのですか?
伊藤:いいえ。パークダイレクトを導入する際、コストはほとんど発生しないと思います。
ただ、これまで営業の方が足で稼いでいた業務が自動化されるので「現場の仕事が減ってしまうのではないか?」という懸念は出てくるようですね。
深澤:業務の自動化に伴い、従来の業務担当者に新たな役割や従来できていなかったサービスなどに注力していただき、全体の業務を最適化するなかで、社員にしかできない業務に対してどれだけ集中できるかが、今後の管理会社のあり方としてのカギになると思います。「現場の仕事が減ったという現象に対してネガティブになる必要はなく、むしろどんどん効率化すべき」ではないでしょうか。
WealthParkの導入時に高齢オーナーはログインできましたか?
石村:ありがとうございます。WealthPark株式会社の石村と申します。
アミックスさんのお客様である不動産オーナーの方の中には、ご高齢の方も一定数いらっしゃると思います。
そこで質問ですが、これらのお客様は実際にWealthParkのアプリを使いこなせていましたでしょうか?
深澤:実際に使いこなせている高齢のオーナー様は多いと思います。
また、私の見解では、アプリを浸透させるためには、オーナー様の年齢ではなく、アプリを使うモチベーションの有無が重要であると感じています。
「このアプリを使うと非常に便利ですよ」というアピールポイントをしっかりと説明し、
オーナー様にモチベーションを上げてもらうことが、アプリにログインし、使って頂くために最も重要であるといえるのではないでしょうか。
石村:ありがとうございます。オーナー様にアプリの導入をおすすめする前に、まずは自分たちで使ってみてツールの良さを自分たちがしっかり理解することも必要ですよね。「自分でツールを理解する」ということが重要だと思います。
深澤:そうですね。
ちなみに、弊社は管理戸数を増やし、事業を拡大し続けておりますが、管理戸数の増加と連動して、既存のシステムによる管理が難しくなるので、WealthParkを導入してよかったと感じています。
これからの賃貸管理業において、重要なことは何でしょうか?
石村:そのようなご意見を頂けて光栄です。
それでは、最後の質問です。これからの賃貸管理業において、重要なことは何でしょうか。
深澤:そうですね。パークダイレクトさんの質問でも触れましたが、「人員配置を最適化することが最も重要である」と考えています。
例えば、単身入居されている高齢入居者の方の孤立死等の問題は、昨今のコロナ禍で、より重要度が高まる一方で、それを具体的に対策できている管理会社様はあまり多くないと思います。
現在、弊社では「余計なお節介プロジェクト」と私が勝手に称して、事前にダイレクトメールでご案内した上で、社員が高齢入居者の方に個別で訪問を行い、何かお困りごとはないかなど定期的にコンタクトをとっていこうという取り組みを始めました。
これは受電対応を完全にアウトソーシングし、社内の電話がほぼ鳴らなくなったからこそできるようになった、本来管理会社がやるべき業務の一つであると考えます。
「電話が鳴らないから仕事がなくなってしまった」という発想のままでは、入居者様やオーナー様に対するサービスは一向に向上することはありません。
また、PCやシステムが代替できる単純な作業と社員でなくても外部委託化できる業務は、実際に数多く存在し、これからも増加し続けます。
そのことからも「定型化された作業は、PCやシステムと外部委託で賄い、社員にしか行えない業務を社員のキャリアパスの一環として開発し集中していく」
という役割分担するマネジメントの考え方や姿勢が、今後より一層求められるのではないでしょうか。
石村:そのご意見、私も非常に共感します。
本日はありがとうございました。