2021.05.21
【イベントレポート】小さな街でDXを進める~地場企業の挑戦~
4月23日に「小さな街でDXを進める~地場企業の挑戦~」をテーマに、WealthParkをご利用中の管理会社様向けのユーザー会を開催し、22社30名以上の方にご参加いただきました。前回のユーザー会では、送金明細の電子化を実現するためのノウハウや電子化がもたらした成果に焦点を充て、DXを進められている管理会社様のリアルな体験をご紹介いただきました。事後アンケートでは、「モチベーションが上がった」「実際に経験していないと分からないような所感が聞けて良かった」などのお言葉をいただいた一方で、「周りの協力が得られるかが不安」また、「ご高齢のオーナー様が多数いる弊社では実現するのは厳しいかもしれない」というお声もいただきました。
今回は、DXに実際に取り組まれている地場企業様の事例に着目し、ITに馴染みのないオーナー様が多い管理会社様での事例、具体的な工夫・施策を詳しく紹介させていただきました。デジタル化挑戦を躊躇されている管理会社様にとっても、大きな後押しとなるリアルなご体験談だったのではないでしょうか。
【テーマ:小さな街でDXは受け入れられるのか】
【登壇者紹介:株式会社平田不動産様】
株式会社平田不動産様は、人口約2.8万人福井県小浜市という小さな街にある管理会社様です。広告業や不動産業を通して、地元に特化し様々な取り組みをされています。
ご高齢の方やITに不慣れなオーナー様が多い中、どのようにアプリを受け入れてもらったのでしょうか。またどのような方法でDXを進めていらっしゃったか伺いたいと思います。
1.【導入目的:作業に時間をかけるのではなく仕事に時間をかけたい】
導入目的
- 送金明細の電子化
- オーナーコミュニケーションの強化
- 社内コミュニケーションの見える化
ITが担える作業はITに任せ、人間にしかできない「しごと」にウェイトをおけるよう時間の分配をすることで、オーナー様の個別対応をレベルアップさせコミュニケーションを充実させることを目的にWealthParkを導入されました。
昨年2020年11月より半年間で、半数以上のオーナー様への導入を進められ、収支報告書の送付業務を年に一度に削減できたことで、従業員の作業時間を大幅に減らすことに成功。また、原状回復のお見積りや、募集条件の承諾などの定型業務は、アクティビティを活用し、オーナー様からの返答率も非常に高いことから、オーナー様にアプリが浸透していることが伺えます。
アプリの効果や活用する上での工夫を平田社長よりご紹介いただきました。
“ツールとしてチャット機能は管理会社、オーナー様の双方にとって非常に便利ですが、利用する上で、従業員のチャットスキルが重要になると感じました。
チャットを送る際、オーナー様に対して、疑問が残らないようなメッセージが送れているか、随時内容を確認しながら、社員教育を行いました。
時には、他の従業員が送ったメッセージをチェックし、自ら補足するなどして、なるべくオーナー様の困惑を避けるよう配慮をしていました。”
2.【導入計画:ベテラン・若手社員の采配】
導入計画において、平田不動産様で特徴的といえるのが、「社員の采配」です。導入段階の前半部分は、ベテラン社員が対応し、後半からは若手社員が参加。導入初期にベテラン社員が対応することで、オーナー様の導入負荷を最小限に抑える目的もあったようです。そして、導入が波に乗ってきたところで若手社員を参加させるという采配をされています。
3.【オーナー導入(初期):ブログ開設で、フィードバックや現場の声を発信】
多くの企業様が苦戦し、DXの難所と言われているのがオーナー導入のフェーズです。平田不動産様も、昨年12月の時点オーナー様のログイン率が25%と、伸びない時期があり、思うように導入が進まないことに頭を抱える時期もあったようです。新しい取り組みに戸惑いながら平田社長を中心にベテラン社員の方と試行錯誤し、突破口を探す日々が続いたそうです。
こういった状況下で救いになったのが社長が書いていらしたブログの存在でした。当時の詳しい状況や、ブログを投稿することでどういった効果があったのかをお聞きしました。
“ブログを書こうと思ったきっかけは、現場から、WealthParkをフィードバックするプラットフォームを作りたいという思いからでした。
オーナー導入で苦戦した時期には、「今費用を払うよりも1年後に始めた方がお得かも」と消極的な思考になることもありました。
しかし、1年後やるならば、それに至るまでこの期間が必ず資本になり、我々の現場の声がシステムをつくっているというマインドに変わっていきました。
また、ブログに自分の気持ちを吐露することで、不安やプレッシャーを発散させていました。
ブログは、WealthParkへフィードバックする場所であると同時に、自分たちの気持ちを発散させる場所でもありました。”
4.【オーナー導入(後期):ベテラン社員が培ったノウハウを若手に引継ぎ、導入拡大へ】
2021年に入り、導入はさらなるステージへ突入しました。ベテラン社員は今までのノウハウやうち手などを引継ぎ、デジタルに強い若手社員がオーナー導入に参加されました。若手社員を投入することで、ご高齢のオーナー様導入に革新的な風をもたらし、誰しもが持っている「○○は私には絶対にできない」といった不確定な一貫性(固定概念)を取り壊し、新たな切り口から導入を推進できたそうです。結果的に、ベテラン社員と同等またはそれ以上の人数を導入することに成功されています。
また、若手社員がDX推進に参加されることで、オーナー様と密に関わり、人間関係を構築する機会となったそうです。若手社員を参加させることは、導入において新たな風を吹き込むだけでなく、人脈作りや、信頼関係構築など組織作りにも効果的でした。
5.【DXを進める理由:管理業において、デジタルはフットワークである】
セミナーの後半では、活用事例を踏まえ、平田社長のDX推進におけるマインドセットをご紹介しました。平田社長が、なぜ「デジタルはフットワークである」と提言するのか、そして、デジタルが管理業に及ぼすメリットなど、今後の展望について共有いただきました。
“我々の管理業務の役割はオーナー様の目となり手となり足となって頭脳となることだと感じています。
目となるには写真を送ればいいですし、手となるには現場に答えありということで、代わりに作業をして差し上げることもできます。そして、ただの報告ではなくて頭脳を駆使してクローズドクエスチョンで答えられるような提案をしていく必要があります。
その中で、ITを駆使することで、オーナー様とのコミュニケーション頻度を圧倒的に増やせるようになると思っています。
また、管理業の特性として報告が命です。
報告の数が多ければ多いほど良いとされていて、チャット機能はそれを叶えてくれています。
お客様からのクレーム対応もチャットを使うことで、より多くの報告やご提案ができ、お客様の信頼回復につながっています。
現在はチャット機能を活用する上での社員教育をはじめ、導入されたオーナー様に対しては毎月自分の動画を配信することで、オーナー様との関係構築を進めていこうと考えています。
そして、導入されていない方に対しては、使い慣れているアナログとデジタルの媒体の併用での導入促進を考えています。”
報告や提案をはじめ、オーナー様とのやり取りが多い管理業において、デジタル化はより迅速で、軽快なフットワークを実現可能です。
平田不動産様では、平田社長を中心に地場DXと向き合い、積極的かつ多面的なアプローチをかけられていることで、ご高齢のオーナー様に受け入れられ、非常に高い導入率、成果を実現されています。
時には試行錯誤し、突破口を探しながら、会社全体でDX推進のプロセスを楽しんでいらっしゃるようにも感じられました。
平田不動産様、導入事例・活用事例だけでなくDXを推進における、マインドの持ち方など幅広く貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。
登壇企業:株式会社平田不動産様ホームページ
https://www.hiratafudousan.com/
当社はこれからも不動産業界のIT導入を後押しし、不動産管理会社様の業務効率化とオーナーコミュニケーションの活性化を目指し、各種イベントやサービスを展開してまいります。次回も是非ご参加ください。