CIO鈴木の連載記事 | 新型コロナウイルス: 米国における家賃滞納状況は?

新型コロナウイルス対策として4月27日現在、日本政府は家賃に係る支援策を議論していますが、足許日本における家賃支払の遅延に係る包括的情報はありません。
このような中、失業保険申請者数が過去5週間で26百万件に上ったとされる米国における、マンション・アパート等(以下、マンション等)の家賃支払状況につき、今回は共有させて頂きたいと思います。

米国のマンション等に係る業界団体であるNMHC(National Multifamily Housing Council)がEntrata、MRI Software、RealPage、ResMan、Yardiの協力を得て、公表している家賃支払指標(Rent Payment Tracker)によりますと、米国全体における1,150万戸のマンション等について、2020年4月19日時点で89%は家賃支払がなされているとのことです。(図1)
2020年3月は、3月19日時点で93%は家賃支払がなされていたとのことですので、それと比較すると4%少ないものの、それ程大きな支払遅延は確認されていないとのことです。

図1 NMHC家賃支払指標

上記数字は米国全体のものですが、Real Pageによれば、地域別では、New York(81.6%)、観光産業の大きいNew Orleans(82.8%)、Las Vegas(86.8%)等において家賃回収率が全体での89%を大きく下回り、反対に、Salt Lake City(94.8%)、州都のあるSacramento(94.7%)、供給拠点の多いRiverside/San Bernardino(94.4%)、防衛産業の大きいVirginia Beach(94.4%)は安定した家賃回収率となっているとのことです。

また、米国では物件を築年等品質レベルでClass A、B、Cの3段階で分けていますが、この区分ですと、同じくReal Pageによれば、Class A(88.4%)、Class B(88.1%)に比較し、新型コロナウイルスの影響を受ける可能性の高い方が入居者となり易いClass C(85.3%)では家賃回収率が低くなっているとのことです。

総括として、NMHC PresidentのDoug Bibbyは、米政府の金融支援、マンションオーナー・管理会社等による入居者支払条件緩和等があるものの、政府の支援対象に全ての人が該当する訳ではなく、医療費支払含め預金を引き出さざるを得ない人もいる中、入居者の財務面での安全性は不透明で更なる法整備含め政府の支援が必要としています。

上記の通り、以上、今回は家賃遅延について米国の状況を共有させて頂きました。
米国においては一先ず現状は、家賃支払遅延の観点からは影響は限定的に見えますが、今年5月の支払いがどうなるかが注目されており、5月は数字が悪化するのではないかという見方も有ります。
WealthParkでは今後も日本のみならず海外の動向も注視していきたいと考えております。

参考資料: