CIO鈴木の連載記事 | 直近の中古マンションの物件売買データから新型コロナウイルスの影響を見る

今日は、5月15日に公益財団法人不動産流通推進センターが公表した中古マンションの物件売買データから、新型コロナウイルスの影響が中古マンションの物件売買データにどのように表れているかを見てみたいと思います。

1. 中古マンション売買成約件数

2020年4月の中古マンション売買成約件数は、2019年4月に比較し、北海道33%減、東京都56%減、神奈川県52%減、大阪府42%減、福岡県33%減、沖縄県38%減と大幅な減少となっています。

図1 中古マンション売買物件の成約件数

先月お伝えした通り、2020年3月時点での売買成約件数は、前年同月比で北海道12%減、東京都9%減、神奈川県16%減、大阪府3%増、福岡県18%減、沖縄県14%減ということでしたので、先月と比較しても今月は大幅な減少となっております。

当然ながら、この背景には新型コロナウイルスの影響があり、更に直接的には北海道は北海道独自で知事が発表した2月28日からの緊急事態宣言、その後4月7日に国レベルでの緊急事態が宣言されたことがあります。

報道の通り、5月25日をもって全ての都道府県において緊急事態宣言は解除された為、来月公表される5月に係る中古マンション売買成約件数も前年同月比では大幅減になることは明らかです。

一方で、6月以降についても緊急事態宣言が解除されたとは言え、経済活動が即座に前年と同じ形で再スタートするということにはならず、感染症には引き続き注意しながら、新たなアプローチでの経済活動を模索するということですので、6月以降の売買成約件数も前年同月比で減少する可能性は高いと言えます。

2. 中古マンション売買成約物件㎡単価

次に㎡単価はどう変動しているのかを見る為に、2020年4月の中古マンション売買成約物件の㎡単価推移を見ますとは2019年4月に比較し北海道13%減、東京都1%減、神奈川県3%減、大阪府1%減、福岡県2%減、沖縄県4%減となっています。(図2)

図2 中古マンション売買物件の㎡単価(単位:万円)


先月お伝えしました通り、2020年3月での㎡単価は、前年同月比で北海道1%増、東京都1%減、神奈川県2%減、大阪府横ばい、福岡県3%減、沖縄県5%増となっておりましたので、必ずしも新型コロナウイルスの影響で価格が下落したということではなさそうですが(勿論そのような影響も部分的にはあると思います)、特に2020年4月での変化としては北海道、沖縄県における㎡単価下落が目立ちます。

この背景を理解する為に、売買物件の平均築年数を見てみると、北海道においては平均築年数が2019年4月の24.6年に対し2020年4月では28.0年(14%増)とより築古、沖縄においても平均築年数が2019年4月の16.6年に対し2020年4月では18.0年(9%増)とより築古であった㎡単価下落に影響したものと思われます。(図3)

図3 中古マンション売買物件の平均築年数

以上、今回は中古マンションの直近の物件売買データから、新型コロナウイルスの影響が物件売買成約件数や成約物件平均㎡価格にどのように表れているかを見てきました。

緊急事態宣言により経済活動が実質的にストップしたことが直接的に影響し、中古マンションの売買件数は減少しましたが、価格については取引された物件の築年数要因での下落はあったものの、直近のデータでは限定的ということでした。

一方で、緊急事態宣言が解除されたとしても経済活動が急に前年レベルに戻るということではなく、引き続き注意しながら再開するということですので、売買件数そのものは引き続き減少傾向となり、また、価格への影響は、経済活動の回復が長引くと徐々に出てくる可能性はあるものと思料します。

とは言え、前回の記事においても記載した通り、沖縄県における人口増を背景とした中長期的成長、東京都・神奈川県のファンダメンタルを想定すると、短期的には全体感としては下落傾向と考えますが、中長期で見た場合、また、個別案件においては、売却・購入を今待つべきか、それともこれを機会に売却・購入に動くか、必ずしも答えは一つでは無いものと引き続き考えております。

一つの考えとして皆様のご参考になればありがたいと思います。