CIO鈴木の連載記事 直近の中古マンションの物件売買データから新型コロナウイルスの影響を見る

今日は、7月10日に公益財団法人不動産流通推進センターが公表した中古マンションの物件売買データから、新型コロナウイルスの影響が中古マンションの物件売買データにどのように表れているかを見てみたいと思います。

1. 中古マンション売買成約件数

2020年6月の中古マンション売買成約件数は、2019年6月に比較し、北海道34%減、東京都12%減、神奈川県16%減、大阪府6%増、福岡県22%減、沖縄県21%増となっています。

図1 中古マンション売買物件の成約件数

先月お伝えした通り、2020年5月時点での売買成約件数は、前年同月比で北海道31%減、東京都38%減、神奈川県40%減、大阪府35%減、福岡県26%減、沖縄県19%減ということでしたので、先月と比較すると北海道、東京、神奈川県、福岡県は下落率が軟化、大阪府、沖縄県は増加となっております。

全体として先月と比較して回復した背景には当然ながら、5月25日をもって緊急事態宣言が全都道府県において解除され、経済活動が再開したことによります。北海道・東京・神奈川・福岡といったエリアが先月と比較して下落率が軟化したとはいえ、依然として絶対値では前年同月比で大幅な下落率となっている背景には経済活動が再開したとは言え、未だ、ゆっくりと再開しているに過ぎないということが背景にあるかと思われます。

足許でも依然として警戒態勢は継続しておりますので、来月公表される7月に係る中古マンション売買成約件数も前年同月比では減少となるものと思われます。

2. 中古マンション平均成約価格

次に平均成約価格の推移を見てみますと、2020年6月で北海道1,779万円(前年同月比4%増)、東京都4,408万円(同6%増)、神奈川県3,030万円(同4%増)、大阪府2,456万円(同3%増)、福岡県1,876万円(同6%増)、沖縄県2,743万円(同6%増)となっております。

一方で、平均成約価格が上昇していたとしても、売買された平均面積の多寡が影響されたことが背景にある可能性もありますので、次は㎡単価を確認したいと思います。

図2 中古マンション売買物件の平均成約価格(単位:万円)

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3. 中古マンション売買成約物件平均㎡単価

2020年6月の中古マンション売買成約物件の㎡単価を見ますと、2019年6月に比較し北海道1%増、東京都2%増、神奈川県2%増、大阪府1%増、福岡県1%増、沖縄県3%増となっています。(図3)

図3 中古マンション売買物件の平均㎡単価(単位:万円)

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先月お伝えしました通り、2020年5月での㎡単価は、前年同月比で北海道18%減、東京都2%増、神奈川県3%減、大阪府6%減、福岡県4%減、沖縄県12%減となっておりましたので、これと比較すると北海道、大阪府、沖縄県において、大幅に回復したように見えます。

この点、違和感を感じる方も多いかと存じますが、2020年6月26日付の記事をご覧になられた方は覚えていらっしゃるかと存じますが、2020年5月において北海道、大阪府、沖縄県で前年同月比の㎡単価が下落したのは築年の深い案件が売買されたことが背景にありました。

足許の環境が新型コロナウイルスの影響により前年比で㎡単価が上昇することは想定し難い中で、上述の通り、2020年6月は㎡単価が前年同月比で、東京都・神奈川県で2%増、沖縄県は3%増となっていることの背景には、反対に、前年と比較して築浅の取引がなされたからではないかと仮説が立てられます。

この点を確認する為に、売買物件の平均築年数を見てみると、東京都においては平均築年数が2019年6月の21.1年に対し2020年6月では20.6年と2%築浅、神奈川県においても同様に平均築年数が2019年6月の22.0年に対し2020年6月21.6年と2%築浅、沖縄においても平均築年数が2019年6月の18.8年に対し2020年6月17.1年と9%築浅となっており、㎡単価上昇の背景となっているものと思われます。(図4)

図4 中古マンション売買物件の平均築年数

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これらの点を鑑みても、新型コロナウイルスの影響は全体として価格下落というところまでは至っていないものと理解できます。

以上、今回は中古マンションの直近物件売買データから、新型コロナウイルスの影響が物件売買成約件数や成約物件の平均㎡価格にどのように表れているかを見てきました。

緊急事態宣言は解除されましたが、経済活動は引き続き注意しながらゆっくりと再開しており、売買件数そのものは前年比減少が引き続き継続しているものの、価格への下落影響は、部分的には出ていても全体的傾向としては出ていないということと理解しております。

一方、2020年7月17日付の記事でご紹介させて頂いたように、米国においてリモートワークを前提に郊外等に物件を購入する、勤務先がオフィス選択においてもフレキシブルな契約をするといったことがある中、日本においても現在の状況が継続すれば、リモートワークを前提として、これまでとは異なった地域における需要が高まり、価格への影響が出てくる可能性もあるのではないかと考えております。

今後もWPとして皆様のご参考となる情報を共有できればと考えております。