CIO鈴木の連載記事 | 世界の個人富裕層は何に投資しているのか~居住用不動産~

前々回は、世界の個人富裕層人口(USD30Mil以上の資産規模)と富裕層の平均的資産構成につきマクロ的に概観した上で、ウイスキー・ワイン・アートといった収集品(Collectables)の投資資産としての収益性についてご紹介させて頂きました。

今回は、前々回と同様にグローバル不動産コンサルタント会社ナイトフランク(本社英国)のWealth Report 2020を基に、居住用不動産について、世界各国の価格上昇率等をご紹介できればと思います。

ナイトフランクによると、2019年の1年間で世界における居住用不動産の価格上昇率は1.8%の増加であり、上位15都市の増加率は図1の通りです。

図1 2019年1年間の居住用不動産価格上昇率上位15都市(出所:ナイトフランク)

EU圏内は、Brexit等経済的には不安定な状況下ではあったものの、Frankfurt(前年比10.3%増)を筆頭に、Lisbon(同9.6%増)、Athens(同7.0%増)、Berlin(同6.5%増)と価格が上昇しました。

価格上昇率トップとなったFrankfurtはドイツの金融の中心であり、ECB本部がある場所で、以前は居住というより商業中心でしたが、2013年以降、毎年平均11,000人の人口増となっており、国内外からの居住用地域としての需要が高まっているとのことです。

アジアは、中国が米中貿易戦争により存在感を低下させ価格上昇率が軟化する中、Taipei(同8.9%増)、Seoul(同7.6%増)が高い上昇率となっております。東京はこれを下回りますが3.2%の上昇となりました。

都市別に居住用不動産価格を見た場合、どの都市の価格が相対的に高いのでしょうか?

これを確認するべく、ナイトフランクの「百万米ドル(約1億円)で購入できる㎡数」を見ますと図2の通りとなります。

図2 百万米ドルで購入可能な㎡数の上位15都市(出所:ナイトフランク)

先進地域は価格が高く、価格上昇率は低成長となる傾向がみられる中、ベルリン前年比6.5%増、パリ4.3%増、シドニー3.7%増、ジュネーブ3.5%増、東京3.0%増は、引き続き高い成長率を維持しています。

今度は視点を変えて、居住用不動産を購入する富裕層が、購入時にどのような点を重視しているのかにつき、ナイトフランクが行動調査(Attitude Survey)結果を示していますので、共有します。(図3)

図3 居住用不動産購入時の意思決定要因(出所:ナイトフランク)

こちらを見ますと、居住用不動産を購入する際に、最も重要な要素は「余暇を目的とした緑地へのアクセスのし易さ」であり、「ジム等健康施設への近さ」、「デザイン」が続いています。

ナイトフランクが対象としている顧客は富裕層になりますので、特にこのような結果になっているのかもしれません。

今回は居住用不動産について地域別に価格上昇率、1億円で購入できる㎡数、購入時の決定要因を共有させて頂きました。

世界レベルで価格上昇率等を比較可能なデータはあまり開示されていない中で、このように比較できるデータがあると、これを基に世の中の動きを再検討することができ、興味深いですね。

今後については、新型コロナウイルスの影響もあり、また、大きく異なった結果になる可能性もあるかと思いますが、皆様にとって少しでも参考になれば幸いに存じます。