CIO鈴木の連載記事 新築マンションの市況を概観する

中古マンションについては過去何度か取り上げておりましたが、これまで新築マンションの市況については取り上げておりませんでしたので、今回は新築マンションについて、7月15日に株式会社不動産経済研究所が公表したデータから、エリア別(東京都区部・東京都下・神奈川県・大阪市・大阪府下、計5エリア)に、①発売数に対して契約数・契約率がどのように推移してきたか(供給と需要度合い)、②発売平均価格・㎡単価がどのように推移してきたか、③価格帯別で見るとどのような価格帯が契約に至っているのかを概観したいと思います。

1. 東京都区部の新築マンションの状況

① 新築マンション発売数・契約数・契約率

東京都区部の新築マンションは発売が過去一年の平均では月1,000戸程度で推移する中、新型コロナウイルスの影響もあり、発売戸数は2020年4月、5月は500戸を下回る水準となっておりましたが、6月は730戸と前年同月比18%減の水準に留まりました。発売月の契約率も6割を超過する水準となっています。(図1-1)

図1-1 東京都区部新築マンション発売数・契約数・契約率

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②新築マンション平均価格・㎡単価

東京都区部の新築マンション平均価格は過去一年の平均では7,500万円程度ですが、2020年6月は7,962万円と前年同月比4%増の水準。㎡単価は過去一年の平均では120万円ですが、2020年6月は128万円と前年同月比2%増の水準となっています。(図1-2)

図1-2 東京都区部新築マンション平均価格・㎡単価

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③新築マンション価格帯別契約戸数

東京都区部の新築マンションにつき、契約された戸数の価格帯で見ると、4,000万円超8,000万円以下の価格帯がボリュームゾーンとなっておりますが、2020年6月時点の前年同期比で見ると1億円以上2億円未満の物件契約数が2割増となっています。(図1-3)

図1-3 東京都区部新築マンション価格帯別契約戸数

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2. 東京都下の新築マンションの状況

① 新築マンション発売数・契約数・契約率

東京都下(区部を除く)の新築マンションは発売が過去一年の平均では月170戸弱である中、新型コロナウイルスの影響もあり、発売戸数は2020年4月、5月は50戸を下回る水準となっておりましたが、6月は134戸と前年同月比2%減の水準に留まりました。発売月の契約率も6割を超過する水準となっています。(図2-1)

図2-1 東京都下新築マンション発売数・契約数・契約率

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② 新築マンション平均価格・㎡単価

東京都下の新築マンション平均価格は過去一年の平均では5,300万円程度ですが、2020年6月は5,330万円と前年同月比1%減の水準。㎡単価は過去一年の平均では80万円ですが、2020年6月は87万円と前年同月比13%増の水準となっています。(図2-2)

図2-2 東京都下新築マンション平均価格・㎡単価

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③ 新築マンション価格帯別契約戸数

東京都下の新築マンションにつき、契約された戸数の価格帯で見ると、2,500万円超6,000万円以下の価格帯がボリュームゾーンとなっておりますが、2020年6月時点の前年同期比で見ると6,000万円超1億円未満の物件契約数が増加しております。(図2-3)

図2-3 東京都下新築マンション価格帯別契約戸数

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3. 神奈川県の新築マンションの状況

① 新築マンション発売数・契約数・契約率

神奈川県の新築マンションは発売が過去一年の平均では月460戸程度で推移する中、新型コロナウイルスの影響もあり、発売戸数は2020年4月、5月は150戸を下回る水準となっておりました。6月も180戸に留まり、また、前年同月は617戸と高水準であったこともあり、前年同月比71%減となっています。発売月の契約率は7割を超過する水準となっています。(図3-1)

図3-1 神奈川県新築マンション発売数・契約数・契約率

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② 新築マンション平均価格・㎡単価

神奈川県の新築マンション平均価格は過去一年の平均では5,200万円程度ですが、2020年6月は5,312万円と前年同月比2%増の水準。㎡単価は過去一年の平均では80万円弱ですが、2020年6月は82万円と前年同月比2%増の水準となっています。(図3-2)

図3-2 神奈川県新築マンション平均価格・㎡単価

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③ 新築マンション価格帯別契約戸数

神奈川県の新築マンションにつき、契約された戸数の価格帯で見ると、4,000万円超6,000万円以下の価格帯がボリュームゾーンとなっております。2020年6月時点で、前年同期比で見ても特段他の価格帯が増加している等はないようです。(図3-3)

図3-3 神奈川県新築マンション価格帯別契約戸数

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4. 大阪市の新築マンションの状況

① 新築マンション発売数・契約数・契約率

大阪市の新築マンションは発売が過去一年の平均では月660戸程度で推移する中、新型コロナウイルスの影響もあり、発売戸数は2020年4月、5月は250戸を下回る水準となっておりましたが、6月は610戸と前年比19%減の水準に留まりました。発売月の契約率も7割を超過する水準となっています。(図4-1)

図4-1 大阪市新築マンション発売数・契約数・契約率

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② 新築マンション平均価格・㎡単価

大阪市の新築マンション平均価格は過去一年の平均では3,600万円程度ですが、2020年6月は3,047万円と前年同月比9%増の水準。㎡単価は過去一年の平均では80万円であり東京都下や神奈川県と同水準ですが、2020年6月は70万円と前年同月比5%減の水準となっています。(図4-2)

図4-2 大阪市新築マンション平均価格・㎡単価

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東京都区部、東京都下、神奈川県と比較し、平均価格や㎡単価が月毎にばらつき度が大きいのは、データ元である不動産経済研究所によると、近畿圏は首都圏と異なり、市場規模が小さく1棟のインパクトが大きく影響する中、データに投資用マンション(ワンルーム等比較的面積が小さい)が含まれていることが背景にあるとのことです。基本的には投資用マンションの発売がある月は平均価格が減少するとのことで、2020年6月もこれが背景にあるとのことです。

③ 新築マンション価格帯別契約戸数

大阪市の新築マンションにつき、契約された戸数の価格帯で見ると、2,500万円以下の価格帯が圧倒的ボリュームゾーンであり、2,500万円超6,000万円以下がこれに次ぐ水準となっておりますが、2020年6月時点の前年同期比で見ると特に2,500万円超4,000万円以下の物件数が大幅増となっています。(図4-3)

図4-3 大阪市新築マンション価格帯別契約戸数

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5. 大阪府下の新築マンションの状況

① 新築マンション発売数・契約数・契約率

大阪府下の新築マンションは発売が過去一年の平均では月270戸程度で推移する中、新型コロナウイルスの影響もあり、発売戸数は2020年4月、5月は100戸を下回る水準となっておりました。前年の同月が420戸と高水準であったこともあり、2020年6月は188戸と前年同月比55%減の水準となっています。発売月の契約率も6割下回る低水準となっています。(図5-1)

図5-1 大阪府下新築マンション発売数・契約数・契約率

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② 新築マンション平均価格・㎡単価

大阪府下の新築マンション平均価格は過去一年の平均では4,400万円程度ですが、2020年6月は4,636万円と前年同月比10%増の水準㎡単価は過去一年の平均では60万円ですが、2020年6月は64万円と前年同月比13%増の水準となっています。(図5-2)

図5-2 大阪府下新築マンション平均価格・㎡単価

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③ 新築マンション価格帯別契約戸数

大阪府下の新築マンションにつき、契約された戸数の価格帯で見ると、2,500万円超4,000万円以下の価格帯がボリュームゾーンとなっておりますが、2020年6月時点の前年同期比で見た場合特段他の価格帯で大幅に増加しているといったことは起きていません。(図5-3)

図5-3 大阪府下新築マンション価格帯別契約戸数

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全般的には発売戸数・契約戸数は新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言に伴い、2020年4月、5月と大幅減少していたのに対し、6月は若干回復する一方、価格下落は大枠としては出ていない状況と理解しています。

このような中、今回は新築マンションに係る公表データを基に、市場概況のイメージ感を共有させていただく為、エリア別に①発売数に対して契約数・契約率がどのように推移してきたか(供給と需要度合い)、②発売平均価格・㎡単価がどのように推移してきたか、③価格帯別で見るとどのような価格帯が契約に至っているのかをご紹介させて頂きました。

今後は中古マンションとの比較や更なる補足情報による深堀り等をすることにより、更に皆様の参考となる情報を共有できればと考えております。

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本記事については、筆者の私見を含んでおりますので、ご質問・ご不明点がございましたら、筆者宛にご質問頂ければ幸いに存じます。

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