2020.08.21
CIO鈴木の連載記事 | 直近の中古マンションの物件売買データを見る
今日は、8月11日に公益財団法人不動産流通推進センターが公表した直近の中古マンションの物件売買データから、中古マンション市場の状況を見てみたいと思います。
1. 中古マンション売買成約件数
2020年7月の中古マンション売買成約件数は、2019年7月に比較し、北海道同水準、東京都4%減、神奈川県6%減、大阪府同水準、福岡県5%減、沖縄県5%減となっています。
図1 中古マンション売買物件の成約件数
先月お伝えした通り、2020年6月時点での売買成約件数は、前年同月比で北海道34%減、東京都12%減、神奈川県16%減、大阪府6%増、福岡県22%減、沖縄県21%増ということでしたので、先月と比較しても、新型コロナウイルスによる二桁水準の成約件数下落率はかなり軟化し、中古マンションの売買市況は回復しつつあると見えます。
目次
2. 中古マンション平均成約価格
次に平均成約価格の推移を見てみますと、2020年7月で北海道1,672万円(前年同月比1%減)、東京都4,572万円(同7%増)、神奈川県3,129万円(同5%増)、大阪府2,584万円(同6%増)、福岡県1,981万円(同9%増)、沖縄県3,030万円(同20%増)と全体として、前年比で上昇しております。
この点、売買された平均面積の多寡が影響されたことが背景にある可能性もありますので、次は㎡単価を確認したいと思います。
図2 中古マンション売買物件の平均成約価格(単位:万円)
3. 中古マンション売買成約物件平均㎡単価
2020年7月の中古マンション売買成約物件の㎡単価を見ますと、2019年7月に比較し北海道2%増、東京都6%増、神奈川県6%増、大阪府4%増、福岡県6%増、沖縄県11%増となっています。(図3)
図3 中古マンション売買物件の平均㎡単価(単位:万円)
先月お伝えしました通り、2020年6月での㎡単価は、前年同月比で北海道1%増、東京都2%増、神奈川県2%増、大阪府1%増、福岡県1%増、沖縄県3%増となっておりましたので、これと比較しても全国的に㎡単価も増加しているように見えます。
この点、前年と比較して築浅の物件取引がなされたことが背景にある可能性もありますので、売買物件の平均築年数を見てみると、東京都においては平均築年数が2019年7月の20.5年に対し2020年7月では20.3年と1%築浅、神奈川県においては平均築年数が2019年7月の22.7年に対し2020年7月は22.0年と3%築浅、福岡県においては平均築年数が2019年7月の24.6年に対し2020年7月は23.1年と6%築浅、沖縄においても平均築年数が2019年7月の19.4年に対し2020年7月は15.4年と21%築浅となっており、㎡単価上昇の背景となっているものと思われます。(図4)
但し、東京と神奈川については前年比でそれ程築浅案件でなかったにも関わらず、㎡単価は相応に上昇していることから価格は下落するどころか高水準で留まっている(硬直性は高い)ように思われます。
図4 中古マンション売買物件の平均築年数
以上、今回は中古マンションの直近物件売買データを見てきました。
中古マンション市場において物件取引数については新型コロナウイルスの影響による件数下落度合が大分回復し、また、物件価格が下落するような動きも、北海道、東京、神奈川、大阪、福岡、沖縄で見るとなく、特に、東京・神奈川は取引された案件がそれ程築浅という訳ではないにもかかわらず、価格は上昇しており底堅い印象であることが見られました。
今後もWPとして皆様のご参考となる情報を共有できればと考えております。
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