2020.10.26
VPが語る、WealthParkのプロダクト・技術・組織とは【WealthPark VP対談 パート II】
新しい資産運用体験の実現を目指すWealthParkにおいて、プロダクト開発を牽引する3名のVP。将来的なゴールであるオルタナティブ資産のプラットフォームの構築に向けて共に邁進するVP同士、プロダクトや技術、組織のあり方について今抱えている課題から、未来をどの様に見据えているかまで、たっぷりと語り合っていただきました。この対談を通じて、彼らのリアルな言葉をお伝えできればと思います。
パートIではプロダクトや技術について、パートIIでは組織づくりに関する話題を中心にお届けします。
プロフィール
VP of Design | 吉本 祐貴
大学在学中にデザイン制作会社にてキャリアをスタートし、卒業後は10年以上に渡りフリーランスのデザイナーとして幅広い分野で活躍。日本を含めたアジア、そして世界のオルタナティブ投資における新たな価値の創出に野望を抱き、創業メンバーとしてWealthParkに参画。創業当初はデザインのみならず、プロダクトから営業まで広範囲に及ぶ業務に取り組んでいたが、現在はUIに注力し、デザインチームを率いる。WealthParkでは最も古いメンバーの1人。
プロフィール
VP of Engineering | 藤井貴浩
2010年に新卒で楽天に入社し、ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタート。ホテルの予約システムを中心に旅行サービスを担当し、最終的にはエンジニアリングマネージャーとして組織開発にも従事。 オルタナティブ資産のプラットフォームを構築するというWealthParkのミッションに共感し、2020年に参画。同年4月にVPoEになり、10ヶ国以上の国籍を有する17人のメンバーからなる、国際色豊かなエンジニアリングチームを率いる。
プロフィール
VP of Product | セス・ルアン
台湾生まれ・カナダ育ち。 13年前にバックパッカーとして来日し、バーテンダーとして働き始める。その後ソニーモバイルコミュニケーションズに入社し、プログラマーやプロジェクトマネージャーとして、IT業界でのキャリアを構築。楽天でクレジットカード決済サービスのマネジメントを経験した後、不動産への投資事業や自身のIT会社の設立を経て、WealthParkに参画。テクノロジーで不動産業界を変えたいというミッションを持つ。
TOC
多国籍組織である理由
-パートIではプロダクトや技術についてお伺いしましたが、続くパートIIでは組織づくりに関する話題を中心にお話いただければと思います。まずは、WealthParkの特徴でもある「多国籍」である理由を教えていただけますか?
吉本:私たちの最終ゴールは、日本から世界に向けて新しい資産プラットフォームを提供すること。そのためにもスタート時点から世界に通用する才能や技術を持った人材が必要であると考え、初期メンバーは全員海外出身者でした。現在は日本人メンバーも増え、香港、上海、ニューヨークに支店を構えて順調に成長していますが、今後は英国と米国へのサービス提供も視野に入れています。私たちのビジョンを世界規模で実現するには、グローバルな感覚と各地域に対する文化的理解を備えた国際的なチームをつくることが重要であるという考えは、昔も今も変わらないですね。
-なるほど。チームの多国籍性や多様性が、国際的な競争力につながっている実感はありますか?
セス:多様性のおかげで、マネジメントに対する予想外のチャレンジはたくさんあります(笑)。同時に、メンバー全員が独自の知識や経験を提供し、刺激を与え合える環境は、うまくマネジメントができれば強みになりますね。一つの見方に固執しないことが創造性につながっていると言えると思います。
グローバル市場での競争力という意味において、人材、パートナー、テクノロジーといった最高のリソースを獲得するのに、組織の多様性は間違いなく有益です。日本国内を飛び出して世界の大きな市場で競争することができるのは、多国籍チームを持つことの利点の1つですね。
吉本:チームの多様性は、同じ価値観を持つ海外企業と良好な関係を築くのにも非常に役立っていますね。2018年と2019年にニューヨークで開催したWealthPark NYCなど、グローバル企業との交流も積極的に行っていますが、最近の成果としては、イベントで出会ったスイスの企業とのコラボレーションで、2020年にAIを使用して不動産価値を評価する新機能をリリースしました。
-カルチャーの多様性に由来するチームのユニークさみたいなものはあるのでしょうか? エンジニアチームは10国籍・17名のメンバーで構成されていると伺っていますが、いかがでしょう?
藤井:実のところ、エンジニアにとっては、グローバルな環境で働くことがデフォルトになっていて、特別意識していないかもしれません。というのも、コードを書く上で、世界中のエンジニアとオープンソースコミュニティでつながっていくので、コミュニティの文化的な多様性に対してはあまり気にならなくなっていきます。うちのチームには私も含めて2名の日本人がいますが、オープンソースコミュニティと同じ様に、チームの言語は英語です。グローバルに活用できるプロダクトをつくるためには、この様な環境は自然かつ必要だと感じています。
フラットな組織を目指す
-チームビルディングを成功させるためにWealthParkが採用しているマネジメントポリシーを教えてください。
セス:すべてのメンバーの責任と自律性のレベルを上げるために、フラットな組織を目指しています。ただ、やはり役職があるとフラットだと考えられないメンバーもいますね。例えば、役職のないメンバーよりもVPの方が上だと感じてしまったり。そうした無意識な思考が重要な意思決定に影響を与え、結果としてプロジェクトの進行が遅れることがあるので、そういった抑制から解放されてほしいと思っています。
-とはいえ、階層的な組織で働いていた人にとっては、役職と階層を切り離すのはなかなか難しいですよね。
セス:そうですね。そのために日頃から意識しているのは、役職に関係なく、自分が持っている情報をメンバーと繰り返し共有することです。また、可能な限りすべての会議に出席して、ファシリテーションに貢献すると同時に、他のメンバーからの意見やフィードバックにはきちんと耳を傾けて、感謝する様に心がけています。こうしたコミュニケーションを通じて、メンバーとフラットな仲間意識を築いていけたらと思っています。
-多国籍なチームをオープンかつインクルーシブに保つために、気を付けていることはありますか?
藤井:情報へのアクセス1つとっても、公平性を維持するためにはプラスαの作業と努力が必要ですね。例えば、クライアントからの情報の一部は日本語ですし、日本語を理解しないエンジニアにとっては言語の壁がある。マネージャーとして、できる限り英語に翻訳して共有するなど、垣根をなくす努力をしています。
マネージャーとして私が心に留めているもう一つのポイントは、チームメンバーとコミュニケーションをとるときに、客観的な視点と共感の姿勢の両方を持つことです。心から耳を傾け、彼らの目線から理解しようとしますが、客観性を決して失わない様にしています。
-3月からWealthParkはリモートワークを導入しましたが、この様な状況下でのチームマネジメントに難しさを感じますか?
セス:メンバーの精神状態やストレス状況を知ることは明らかに難しくなりましたが、ミーティング中の取り留めのないチャットや日常のコミュニケーションによって把握しようとしています。また、チームディスカッションの頻度を増やしたり、メンバーの理解度を合わせるためにディスカッション内容をテキスト化したり、リモートだからこその工夫をしています。
-他にもマネージャーとしてメンバーに対して行なっているサポートや工夫はありますか?
吉本:仕事に関係のない話題を振ったり、笑い話を共有したりすることで、どんな精神状態かを色々な角度でチェックする様にしています。オンラインミーティングの進め方については、他のチームが既にノウハウを蓄積しているので、参考にさせてもらっています。
藤井:オンラインミーティングでは、ビジュアルイメージが重要な役割を果たしてくれるので、オンラインホワイトボードのmiroを活用して、図や付箋を画面上で共有しながら進める様にしています。また、リモートミーティングでも積極的に参加してもらいたいので、敢えてメンバーを考えさせる様な質問を投げたりします。
エンジニアリングチームには、リモートワーク開始後に、オンライン以外で会ったことのない新しいメンバーが何名か加わったので、特にオンボード期間は彼らとの信頼や関係性を築くために、通常時よりもより多くの時間を割く様にしました。
1つのチームとして働く
-パートIでも触れましたが、Product、Design、Engineeringという3つのチームでシナジーは感じられていますか?
藤井:はい、1つのチームとして働いているという感覚はしっかりとありますね。いかにしてこのレベルに到達したのか、経緯を説明するのは難しいのですが、3つのチームが自然に連携している状態までになっています。
吉本:創業時から振り返ると、今の様な状態になったのはセスが参画した後に、SpotifyモデルをベースにしたSquadに移行してから。クロスファンクショナルな構造になったことで、3つのチームが1つのチームとなり、プロダクトを一緒に開発しているという感覚を持てる様になったと思います。それ以前は、3つのチームはそれぞれ独立していたし、コミュニケーションも少なかったですね。
Squadを導入してしばらく経ってから、藤井がVPoEとして入り、理想的なチームになってきました。これまでトライしたくてもトライできなかった、次のレベルの課題に挑戦する体制が整ってきたと感じています。
藤井:私がマネージャーとして入社した時点で既にSquadが採用されていて、自由と管理のバランスの取り方については、今でも難しさを覚えます。とはいえ、単に難しいだけで、このモデルが目指している方向や、組織に与えてくれる自律性については賛同しますし、適切に使いこなせればSquadは良いモデルだと思っています。
セス:Squadは小規模のチームだともっと簡単にうまくいくと思います。一方で、私たちの様に100人近くのメンバーを抱える企業の場合は、Squadを機能させるにはフォーマットやシステムも必要になります。トライ&エラーを通じて、Squadを私たちの組織に合わせてカスタマイズしながら、最適なモデルを構築していけたらと思います。
理想は完全な自律性を持ったチーム
-皆さんが考える理想的なチームとは、どの様なチームでしょうか?
セス:私にとっては、やはり自律性のあるチームですね。
藤井:私も自律性を持たせるという考え方には共感します。一方で、自律的な状態のチームをつくるには、段階的に進めることも重要だと思っています。エンジニアチームでいうと、チームを自走させた時に技術的な問題が取り残されてしまうと自走させた意味がない。こうした技術的な問題を解決・管理しながら、チームのレベル全体を上げていけるスキルを持ったメンバーも入ってきてほしいし、そうしたプロセスを踏みながら、最終的にチームに完全な自律性を与えたいと考えています。
吉本:自律性を持ったチームを実現するためには、メンバーそれぞれがWealthParkのビジョンの枠組みの中で、所属チームに割り当てられたゴールを理解する必要があります。VPとしても、会社が目指す方向性をメンバーに積極的に提示していかないといけないと思っています。
-採用時にどの様な資質を求めていますか?
セス:信頼できる人ですね。信頼できることが一番重要。もちろんスキルは必要ですが、スキルか信頼性のどちらを取るかと聞かれたら、私の答えは間違いなく後者です。
興味深いのは、目標を達成するという点においては、世界で最もパフォーマンスの高い組織であると言われている米海軍も、採用プロセスにおいて重視しているのは信頼性です。一緒に戦いに行くことができる人、人生を委ねることができる人を求めます。どんなにスキルがあっても、信頼できなければ雇わない。そうした考えは古臭く聞こえる一方で、今日の会社にもまだ有効な部分もあると思います。例えば自分に何か起きたとしても、その人に任せられるほど信頼できるかどうかは、一緒に働く上で大事だと思うのです。
-候補者を信頼できるかどうかはどの様に見極めるのでしょうか?会社のビジョンに対する共感や理解も物差しになりますか?
セス:面接時に候補者の方からビジョンへの共感を語っていただくことも多いのですが、実のところは見えない部分もあるので、私の場合はそれよりも性格や人間性を見ますね。
吉本:採用は本当に難しい。私の場合は直感に頼るところもあって、デザインチームのメンバーを雇った最終的な理由は、音楽の趣味が同じだったから(笑)。ただ、結構それがうまくいったりもするし、これまでに行った採用に関しては非常に自信を持っています。
特定のスキルや専門性を求める場合はまた別ですが、次のフェーズに向かうために純粋に新しいメンバーを探すときは、信頼性は確かに重要なポイントになってくると思います。
-新しい世界の実現に向けて一緒に勝負していくメンバーに「信頼性」を求めるというのは、確かに納得できます。長時間にわたるインタビュー、ありがとうございました!
WealthParkで働くことに興味をお持ちいただけましたら、まずはメンバーとカジュアルにお話しする機会を設けられればと思います。こちらからお気軽にお問い合わせください。
飯田 明 | Mei Iida
渉外法律事務所にてファイナンス・パラリーガルを務めた後、大学院留学を挟んで飲食業の世界へ。外資系チョコレート会社のDirector of Communicationsとして、HR/ブランディングを担当。現在はフリーランスに転向し、複数の会社とのプロジェクトを通じて、カフェのプロデュース事業や人事、国内外のダイニングイベントの企画・運営に携わっている。