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2021.04.27

WealthPark 取締役, CFO, 米国事業責任者 白崎 純平インタビュー | グローバルな観点で目指すWealthParkの世界

25億円の資金調達を実施し、新サービス「WealthParkオルタナティブ」のリリースを発表したWealthPark。事業開始から約7年を経て、創業時から描いていた不動産やワイン、アートといった「オルタナティブ資産」の管理プラットフォームの実現に向けて、舵を切りました。多くの方々からご興味いただくポイントを第三者の視点で深く掘り下げ、WealthParkの経営陣がなぜ「オルタナティブ投資の民主化」を目指すのかを紐解いていく、全4回のインタビューシリーズの最終回です。

インタビュイー

白崎 純平
全社の財務戦略統括・米国統括。ニューヨークを拠点とし、事業のグローバル推進を担当。過去には外資不動産ファンドの運用に従事。ハードアセット、オペレーションアセット、プライベートエクイティ、不良債権等への投資業務に関する豊富な経験を有する。慶応義塾大学総合政策学部卒業。

目次

不動産業界の「情報の非対称性」を解消したい

――まずは、白崎さんがWealthParkに参画された理由を教えてください。

自分自身が将来やりたいと思い描いていたことと、WealthParkのビジョンが同じだったことが参画の理由です。前職の投資銀行では、不動産ファンドの運用に従事しており、10年以上にわたって不動産への投資を行っていく中で、不動産という商品は情報構造が不均衡で、いかに個人投資家には取っ付きにくいものかを肌で感じていました。一方で、テクノロジーの発展に伴うデジタルインフラの構築が進めば、こうした情報の非対称性は解消され、個人投資家にも情報が届いていく、届かなければといけないと考えていました。不動産を含むオルタナティブアセット運用のデジタルインフラが整備されることによって、投資機会の民主化は必ず起こるという確信を持っていましたし、誰かがやってくれるのを待つのではなく、自分でやりたいと思っていました。

その頃に川田(CEO)と知り合う機会があり、飲みに行くようになったのですが、実は出会った頃からいつかは何かを一緒にやるだろうな、という気はしていました。向いている方向が同じだったので、何らかの接点はずっと持ち続けるだろうと。不動産領域でのデジタルインフラの構築に向けて、自分でやるのか、WealthParkでやるのか、複数の選択肢がありましたが、川田と会話を重ねていく中で一緒にやろうということになって参画した、というのが一連の経緯です。あとは、僕がニューヨークに拠点を移すことは既に決まっていて、そこでチャレンジしたいという思いに共感してもらったことも、WealthParkに参画を決める大きな要素となりました。

不動産×テクノロジーの最前線に身を置く為に、ニューヨークに拠点を移す


WealthParkイベント開催地のニューヨークにて

――WealthParkへの参画よりも先に、ニューヨークでチャレンジをされることが決まっていたのですね。なぜニューヨークに拠点を移すことを決断されたのでしょうか。

グローバルインフラをつくるのであれば、不動産×テクノロジーの最前線のコミュニティに身を置くべきだと考えたからです。テクノロジーの不動産領域への適用、つまりはテクノロジーを使って不動産の価値を上げる、不動産運用実務を効率化するという流れが先に起きていたアメリカでは、既に多くのプロダクトやサービスが出始めている状況でした。アメリカは、新しい仕組みに対して出資をするリスクマネーのマーケットが非常に大きいんですよね。また、日本との比較でいくと、一般的に解放されている不動産データがより豊富です。この「巨大リスクマネー」と「データへのアクセス」の掛け算が、様々なスタートアップが日々試行錯誤して新しいプロダクトやサービスを世の中に生み出すことを支えています。特にニューヨークには全米でも主要な不動産会社の本社が集中しており、プロダクトやサービスの優良なユーザーが集まっているとも言えます。よって、投資家やユーザーの周りに出資や連携を望むスタートアップも集まるわけです。ニューヨークでは、僕が拠点を移した3年半前でも不動産×テクノロジーのスタートアップが無数に存在していました。

もちろん日本にいても新聞やネットからそうした情報を得ることは可能ですが、圧倒的に足りない。実際のプレイヤー、投資家、ユーザーと直接会って話をしたり、事業の模索をその当事者と積み重ねること、そうしたアクションを取っていくことが、グローバルインフラをつくっていく為の非常に重要なパズルのピースの一つだと考えていたので、ニューヨークに拠点を移すことにしました。

――ニューヨークにおいて、不動産×テクノロジーのスタートアップと出資者のエコシステムができている理由として、アメリカという国のカルチャーや価値観が寄与する側面もあるのでしょうか。

カルチャーがどれほど寄与しているかは正直良く分からないのですが、リスクリターンの許容度に還元される話だと思います。投資家は将来のリターンが期待できるからこそ、まだ目に見ぬプロダクトや面白い構想に対して出資するわけですが、極論その構想は実現しないかもしれない。それでも、大きな投資リターンを見越して、リスクを取ります。繰り返しになりますが、このリスクマネーの存在が、エコシステムの醸成の一翼を担っていると考えます。これは、ニューヨークに限った話ではなく、ロサンゼルス、シアトル、ボストンにもこうしたエコシステムは存在します。ただ、こと不動産に関しては、先の理由でニューヨークにプレーヤーが集まっていると思います。

個人投資家によるオルタナティブアセット投資の夜明け

――ニューヨークでは、オルタナティブ投資市場はどういった盛り上がりを見せているのでしょうか。それを裏付けるニューヨークならではの理由があれば教えてください。

ほぼ全てのオルタナティブアセットに共通する点として、アセットの期中管理に物理的なオペレーションが伴うことが挙げられます。そして、それがエコシステムの醸成に密接に関係していると考えています。不動産に関しては、不動産会社がニューヨークに集まっている点を先ほど述べました。その文脈で、ニューヨークではアーティストやギャラリーが多く存在しています。先の不動産の話と置き換えると、アーティスト(スタートアップ)が、自分の絵(プロダクト)を、多くの人の目(投資家)に触れてもらいたいと考えてるわけです。投資家は常にユニークな投資機会を探しているので、アートにおいても不動産と同様、需要と供給のギャップを埋めるあらゆるサービスが生まれています。そして、そのアセットを期中運用する物理インフラが既に整備されていることも相まって、ニューヨークにおけるアート取引は米国の中でも圧倒的なシェアを誇っています。

――日本よりもアメリカの方がオルタナティブ投資の浸透度が高いということは言えるのでしょうか。

分からないというのが正直なところですね。日本でもアメリカでも、ワインの評価や小売価格をアプリで確認して、投資または消費を楽しむ人が増えてきていますが、それも立派なオルタナティブ投資。これをもっと突き進めて、マーケットバリューが即座に分かる仕組み等、オルタナティブ投資のデジタルインフラが整っていけば、必ずそこにお金が集まっていくと思います。スニーカーであればStockX、その他古物などを幅広く扱うRally等がそのデジタルインフラの米国での一例と言えます。一方、日本もアメリカも、個人投資家におけるオルタナティブアセットへの投資機会はまさにこれから夜明けを迎えようとしていると感じています。

外国のオルタナティブアセットへの投資を可能にする仕組みづくり

――既にグローバル展開をされているWealthParkですが、今後はどの様な動きを考えられているのでしょうか。

やりたいことはいくつもありますが、グローバル化の観点から今後さらに進めていきたいのは、日本の投資家の方々が外国のオルタナティブアセットに投資することを可能にする仕組みづくりです。例えば、アメリカには不動産やオルタナティブアセットの投資商品を組成している会社は数多くあり、より多くの投資家に商品を見せたい、アクセスしてもらいたいという需要があります。一方、投資家は常に魅力的な投資機会を探していますが、オルタナティブアセットへのアクセス機会が乏しく、特に海外の商品だとアクセスがないと言っても過言ではないと思います。この商品組成側と投資家側の2つの需要を我々のデジタルインフラで繋ぎ、オルタナティブアセット資産運用の在り方を変えていければと考えています。

――最後に、WealthParkへの参画を考えている方に一言お願いします。

株式運用が飛躍的なデジタル化と簡素化を遂げたように、世界で最も大きな市場規模を誇るオルタナティブアセットの運用は、まさにここ数年の間に大きな進歩を遂げる局面に来ていると感じています。このタイミングをしっかりと捉え、オルタナティブアセットを開放するチャレンジを一緒にできたらと思っています。


代表の川田と欧州にて

インタビュアー:飯田明

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