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2022.07.15

特別対談企画(後編)高知ハウス和田氏に聞く、「高知の街に根差し、向き合う不動産会社」の原動力

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「不動産管理会社のいまを知る」をテーマに、業界をリードするゲストをお迎えし、貴重なお話をお伺いする連載企画。第14回は、高知県高知市で賃貸管理戸数No.1、地域に根付いて事業を展開する、株式会社高知ハウス 代表取締役社長 和田英知氏にお話を伺いました。
後編では、和田氏が考える地域企業としての責任や、アイディアを枯渇させないためのプライベートでの工夫、縦と横で編みながら組織をつくっていくことの重要性、高知ハウス様の今後のビジョンについてお聞きしました。(後編/全2回)

ゲストプロフィール

株式会社高知ハウス 代表取締役社長 和田 英知氏
16歳で東京へ単身上京。高卒認定(旧大検)取得後、帝京大学法学部法律学科を卒業。大和ハウス工業株式会社での営業担当を経て、2000年に父親が創業した株式会社高知ハウスに入社。取締役企画室室長などを歴任。2010年5月より代表取締役社長に就任。管理戸数拡大を目指した上で、従業員満足度を高めることを目的とした組織改革を進め、既存組織が持つポテンシャルの発掘と収益性を高める事業の選択と業務改善から着手。趣味は25年続けているサーフィン。モットーは「凡事徹底」。

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地域でシェアが伸びるということは、地域での社会的責任も高まるということ

――顧客目線で常に先を見ようとする和田社長の姿勢こそが、今の高知ハウスの成長の源泉なのでしょうね。残念なことに、DXの文脈でよく目にするのが、紙そのものをなくすこと自体が目的化してしまうことです。紙をなくした上で業務を効率化し、オーナー様やテナント様、パートナー様にメリットを提供し、結果的に社員に還元することが目的であるはずが、目的と手段が入れ替わってしまうことは往々にして起こります。和田社長は目的と手段をきちんと見据えて、ブルーオーシャンに切り込まれているのだと理解しました。

ありがとうございます。とはいえ、そうしたあるべきDXの実現は、弊社でもまだ道半ばですね。社長就任時に5,000戸だった管理戸数も今では倍になりました。これは、「高知ハウスにはたくさんの商品が揃っている」という、たとえ日曜定休だとしても弊社の店舗にお越しいただける一つのアピールポイントにつながっています。一方で、シェアの伸びによって集客力がアップしても労働集約型が加速してしまえば、社員を幸せにすることが目的だったはずなのに社員がどんどん疲弊しているという、本末転倒な状態に陥ります。数が増えればサービスの質が落ちるというところにまさに直面しているのですが、そこを改善していくことが社長になってここ3〜4年の私の一番の大きなミッションだと捉えています。シェアの拡大は順調でしたが、そのフォローアップとしての業務改善が不足していたと分析しているんです。

――確かに、どの企業様も日々理想と現実を行ったり来たりしながらDXに取り組まれているというのが、本音だと思います。現在の管理戸数までシェアを伸ばす中で、経営幹部の方々を育てていくような組織づくりもされているのでしょうか。

そうですね。地域でシェアナンバーワンになることを目指していましたが、地域でのシェアが伸びるということは、地域社会から我々が求められるニーズが高まるということです。つまり、そこでの社会的責任も増えていくことだと認識しています。そうした責任にしっかりと応えられる企業になっていくためにも、人材を育てていくことは、これから先の高知ハウスのあるべき姿であり、やるべきことだと考えています。

事業の成長を通じて世の中に価値をつくっていくことが社員の誇りになる

――そうした社会や地域への貢献の一つの答えとして、多種多様な制度を導入されているのだと思いますが、その中でも奨学金制度は画期的でしたね。実施されるに至った和田社長のお考えを教えていただけないでしょうか。

奨学金の返済に困窮する学生に関する新聞記事を読んだことがきっかけではありますが、そもそもの私の哲学として、仕事を通じて世の中に貢献していく、価値をつくっていくことを大切にしています。事業の成長に比例して、地域への貢献度も上がっていくべきだと思うんですね。その上で、弊社の限られた資金でやるべきことについては、未来を起点に優先順位をつけています。若い人や子供達に対してできることが、地域社会の中で高知ハウスがまずすべきことなのかなと。
また、働いてくれる社員にとっても、賃金や社内評価だけではなく、世の中や地域社会において感謝されることが、充足感につながりますよね。奨学金の実施も、TVCMの開始も同じことで、すべては社員が「高知ハウスで働いてよかった」という誇りになるかどうかを基準に決断を下しています。私自身が大和ハウス時代に経験した年収や福利厚生、誇りといったものを、高知ハウスの社員にも受けてもらいたい。そのステージへ持っていくためには、高知ハウスを成長させるしか手段がありません。それが一番の私の目標です。

――私は「筋論」という言葉が好きなのですが、和田社長のお話は常に一本の筋道がきれいに通っていますよね。すべてが地域貢献、そして社員の誇りや働く目的に基づいているというのは、和田社長がご両親や地域に貢献したいという想いで高知に戻られた経緯も伺っていたので、さらに胸に響きます。現在建築中の新社屋についても順を追われていて、今だからこそ社員様の満足度につながる経営手段として、決断されたということなのだと理解しました。

これまでは床からはシロアリが出たり、雨漏りしたりするような(笑)、築60年近い社屋を借りていました。「ぼろは着ていても心は錦」なんて強がりながら、固定資産よりも流動資産を重視するという健全経営を大事にしてきました。一方で、社員が誇りを持って「あそこで働いている」と社屋を指させない事実は、ずっと気がかりではあって。もちろん順序があって、きれいな社屋よりも社員の給与を若干ずつでも上げていくのが先です。ようやく一定程度の給与の維持をクリアできるようになった今だからこそ、社屋という目に見える環境、そして社員の働きやすさを整えることにしました。加えて、新しい社屋から高知ハウスの事業を想起してもらえることも経営にプラスに働くだろうと、決断しました。

アイディアとチャレンジ精神を枯渇させないために必要なもの

――ところで、プライベートなお話も少し聞けたらと。奥様を大事にされていると伺ったのですが、奥様との出会いも教えていただけないでしょうか(笑)。

妻との出会いですか(笑)。高知ハウスに入社したときに、今の経営幹部の一人が地元の様々な業界で活躍されている人たちが集まっている居酒屋に連れて行ってくれたんです。そこに週3、4日通うようになって、知り合ったのが今の妻です。当時彼女は21歳で、28歳の私とは年齢差もあったので最初はまったく相手にされなくて。途中で他の人ともお付き合いしましたが、想い続けて11年目に諦めきれずに告白して、付き合ってもらいました。そこから1年半、早く結婚しないと振られるとプロポーズして、今に至ります。妻と話していると私の悩みが小さく思えてくるような、私にとっては海みたいな存在ですね。

――素敵な夫婦関係ですね。奥様のことを海と表現されましたが、サーフィンがご趣味の和田社長らしいですね。サーフィンについても伺いたいのですが、オンオフの切り替えにサーフィンは欠かせないのでしょうか。

そうですね。サーフィンは心を浄化させてくれるんです。パタゴニアの創業者であるイヴォン・シュイナードの「社員をサーフィンに行かせよう」という本から多くの影響を受けています。アイディアは考えようとしても出てくるものではないので、いかに無の状態になれるかが大事です。私自身も週末に海に向かう車中では、今抱えている悩みについてどんなに考えを巡らせても答えは出てきません。ところが不思議なことに、海に入ってサーフィンをして帰るときには、次から次へとアイディアが生まれてくる状態になるんです。チャレンジ精神を失わずに生きるために、私にとって海にいる時間は大切な時間です。
また、サーフィンを通じて、仕事では知り合えない人たちにも出会えることも魅力ですね。自然の中で自然な人たちと肩書き関係なく付き合っていると、社会の中で曇ってしまった自分の目を元に戻せるというか、正しいことを正しいと言えるようにリセットできるんです。

日常と非日常、縦と横で編みながら組織をつくっていくことは重要

――和田社長の言葉や行動に常に一貫性があるのは、思考と身体が一体化されているからなのでしょうね。プライベートのお話からも和田社長の温かいお人柄が伝わってきましたが、普段社員の皆さんとはどのようにコミュニケーションをとられているのでしょうか。

社長になって一昨年までは、毎月30名程と1時間程度の面談を行なっていました。面談では恋愛の相談や報告をしてくれる社員や、応接室の扉を開けた瞬間から泣き出す社員もいますし、面談以外にも休日にチャットアプリでプライベートなことを報告してくれる社員もいます。仕事の中で交わすコミュニケーションは限定的で、それだけではお互いにわかりえないこともありますから、そうした社員とのつながりは大事にしています。日常と非日常、縦と横で編みながら組織をつくっていきたいんですよね。
非日常的な会話や共同作業から、お互いの個性を知って、人間関係が構築されていくことって、多分にあるのではないでしょうか。例えば、これまで会社で開催してきたバーベキューでも、私服で集まって、家族も連れてきてもらうことで、趣味や人となりを垣間見ることができます。ただ、今のご時世として、飲み会などで悩みを打ち明けるといったことができなくなってしまったので、代わりの機会は考えなくてはいけませんね。コロナ禍で入社し、高知ハウスの風土を支えてきた人間関係が形成されないまま過ごしてきた社員を見ているのは、私自身もつらかったです。デジタルでいろいろなツールが発達しても、通じ合えるコミュニケーションはなかなかに難しく、今後はそうしたことにも切り込みをいれていきたいと思います。

一番身近である高知に目を向け、この地域の課題に対してできることを探したい

――さて、ここから先は御社の未来について伺わせてください。御社のあり方としては、規模の拡大と地域への貢献を両輪で目指されているということですが、これからは少子高齢化で労働力が不足すると同時に、テクノロジーが進化していきます。3年後、5年後のビジョンをどのように掲げられているのでしょうか。

前提として、労働力と一緒に消費力も減っていくわけですから、全体が減っていくと捉えれば、未来についてそんなに悲観すべきことはないと思います。量の拡大から質の向上の時代になることは、私にとってはむしろ楽しみでもあります。
高知ハウスとしては、今後もますます地域の視点を大切にしたいと考えています。アメリカのとあるスーパーマーケットの会社が、開店1年目は売上を上げることではなく、地域の課題を見つけることを目標に掲げていると知り、素晴らしいと思いました。各地域によって異なる「困りごと」にビジネスチャンスがあるという考えに共感したんです。我々も一番身近である高知に目を向け、この地域ならではの課題を見つけ、そこからできることを探したい。お部屋探しとともにできることから考えていけば、不動産業の可能性はまだまだ広がっていくはずです。これはどんな商売にも通じることだと思いますが、その地域に貢献できることをするという姿勢は、今後の大原則になっていくのではないでしょうか。というのも、日本の大半の地域は「地方」に該当し、それぞれが課題を抱えているからです。

――なるほど。賃貸、仲介、管理業としての規模そのものよりも、地域に根ざし、必要なサービスを取り込んでいくことにフォーカスされていくということでしょうか。

おっしゃるとおりです。もちろん事業ですから、足元の利益を考えると、仲介業の件数にこだわってしまう自分もいるにはいるんです。ただ、本質的にはそこではないし、勇気ある決断を下しながら舵を取らなければいけないと肝に銘じています。
具体的には、高齢化が全国第2位の高知において、不動産管理会社として高齢者の方にすぐに貢献できるのは、賃貸住宅への入居のハードルを下げること。続いて、便利なサービスを手軽に利用できるためのチャネルをつくっていくこと。今後ますます充実化されていく高齢者の方向けのマーケットに、我々の入居者の方をつなげていくことが不動産管理会社としての役目だと捉えています。

地域に真摯に向き合い、不動産管理業の可能性を広げていくことに夢がある

――地域のオーナー様とテナント様と密につながられている不動産管理会社様だからこそ、地域の課題解決のためのハブになっていくでしょうね。社会が成熟化すればするほど、テクノロジーが進めば進むほど、不動産管理会社様のそうした役割は大きくなると見ています。

私としてもそこにチャレンジしていきたいですし、その方が社員にもやりがいを生み出せると考えています。単なるお部屋の紹介で終わるのではなく、直接的に人の役に立っていると実感できるビジネスに昇華されるわけですから。これからも地域密着型という軸はぶらさずにやり続けていきたいですし、これこそが高知ハウスが残っていくべき道だと信じています。
常日頃から社員に伝えているのは、大きい会社ではなく、いい会社をつくることを目指すということ。私にとってのいい会社とは、「あの会社があってよかった」と地域の方から思っていただける会社です。いい会社であるからこそ、売上が上がって、給与が上がって、社員もこの会社で働いてよかったと思える。この順番と循環こそが大切だと思います。

――最後に、管理業界で頑張っていらっしゃる方々に、メッセージをお願いします。

一般的に不動産業界では、デベロッパーが花形のように見えますが、デベロッパーも不動産管理も役割でしかないように思います。我々のような地域に根ざした不動産管理業は、その地域の方々にサービスを直接的に提供する役割を担っています。それぞれにしかできない役割があるはずで、それに対して優劣をつけるのは意味のないことです。それよりも、役割からミッションを見出し、コミットしていくことが大切なのではないでしょうか。デベロッパーのようにモノをつくることも大切ですが、それだけが街づくりやコミュニティづくりではないですよね。目の前の入居者様の暮らしをサポートし、地域の課題に直に関わることで、街づくりができるのは我々しかいないのです。地域に真摯に向き合うことで、提供できるサービスをもっと増やし、我々の可能性をもっと広げていく。そこに不動産管理業の夢があると考えています。

――さまざまな体験を糧にされてきた和田社長ならではのメッセージですね。本日はありがとうございました。

インタビュアー:WealthPark Founder & CEO 川田 隆太

株式会社高知ハウス

代表取締役 和田英知
高知県高知市本町5丁目3番3号
会社ホームページ: http://www.kochihouse.co.jp/

<本件に関するお問い合わせ先>

株式会社高知ハウス
代表メールアドレス: info@kochihouse.co.jp
代表電話番号: 088-824-6822

WealthPark株式会社 広報担当
Mail: pr@wealth-park.com

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